ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 4
「グ、グリーンすか?・・;」
俺は確認するように、上ずった声を上げていた。
当然俺はこの歳までエコノミーしか載ったことはなく、増しては工場で働いていた時ですら、新幹線に載ることさえ躊躇われ、専ら夜行バスを利用していたのだ。
「ごめんなさい。ハイヤーだと時間かかるし、新幹線が一番いいと思ったんだけど・・」
いやいや・・、そーゆーことじゃ無くて・・
「あっ、ヘリで迎えに来てもう?」
「へぇ、へリぃ?」
それってもしかして・・・ヘリコプターのことですかぁ?・・・;
…プライベートでヘリとか。
その次はジェット機が出てきそうで怖い。
香澄ちゃんと俺の間にはものすごい価値観の相違がありそうだ。
「ま、まあ、香澄ちゃんの好きにすればいいよ」
「あ、そうですか。じゃあ新幹線の切符予約しますね」
「う、うん」
どうやら人生初のグリーン車が決定しそうだ。
しばらくして予約が終わったようで
「はい、完了しました!」
「うん、ありがとう」
「さーて、お風呂入りますか」
「あ、先入っていいよ。」
「へぇ?1人で入って、誰が洗ってくれるんですか?」
・・・今;、何て言いました?
「も、もしかして香澄ちゃん・・・1人で風呂入ったことない?・・」
「やだぁ〜匠さぁ〜ん、そんなのあるに決まってるじゃないですかぁ〜」
「だ、だよねぇ〜『誰が洗ってくれる?』なんて言うから、勘違いしちまったよ。」
「へぇ?・・私1人で浴槽には浸かるけど、身体は違う人に洗って貰ってますけどぉ〜」
おいおい・・・;それは1人で風呂に入るとは言わないんだよ・・・
…それだけのお嬢様ってことなんだな、香澄ちゃんは。
しかし
「でもさ、その洗ってくれる人って女の人でしょ?」
「はい」
「…私、男ですが、よろしいのでしょうか?」
なんかテンぱって敬語になっちゃったし。
それに対し香澄ちゃんは…
「…匠さんならいいですよ?」
なんか頬を赤くして、そう言われた。
「そ、そう…」
「…それにっ、これから先、ずーっと…」
なんか小声でブツブツ言っているようだが、こちらにはよくわからなかった。
「まっ、まあ、お風呂入りましょっ!」
香澄ちゃんにそう言われたら、一緒に入るしかない。
…ここに泊まれるのは誰のおかげ?…彼女ですから。
「んしょっと」
と、おもむろに服を脱ぎだす香澄ちゃん。
ちょ、俺、見てるんですけど!
「や、ちょっと、香澄ちゃん…!」
「どうしました?」
「ここで脱ぐ?」
「いや、お風呂はいるんですから」
「そういうことじゃなくてですね…」
香澄ちゃんは首を傾げた後、少しして「あぁ」と納得する。
「見られてもいいですよ?匠さんなら、いくらでも見ていいですよ?」
少し頬を赤く染めて、香澄ちゃんはニヤリと笑った。