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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 279

それでも僕は、どうしてもゆかりさんを悪くは思えない…
伊藤さんと涼香さんとの以前からの仲を知ってしまい、しかも涼香さんの子供の父親は、夫である伊藤さんだと知ってしまったら…
いくらゆかりさんが気丈な人とはいえ、そのショックは幾許もなかっただろうということは、容易に想像できる。
それで実の息子である啓くんに辛く当たったのも、許し難いことではあるが仕方ないことでもある。
そんな気がした。

「お兄さん、そろそろ行きます?」
私服に着替えた啓くんが僕を呼ぶ。
「…椿ちゃんが洗濯してくれたものはどうする?」
「明日まとめて持ってきますよ」

「それなら行くか。母さんが御馳走作って待ってるみたいだからな…」
腰を上げ伊藤さんと椿ちゃんに挨拶する。

「柏原くんの家は丘の下だろ?送っていくよ。」
伊藤さんがキーを手に取り玄関に向かった。

「あ、悪いですよ。そんな遠くじゃないですし…」
「いいんだいいんだ。啓のことでそちらのご両親にもちゃんと挨拶したかったんだよ。」

「椿ちゃん一人になっちゃいますよ?」
「何、あの子はああ見えてしっかりしてるから大丈夫さ」
…まあ、そうですね。

「歩いて行くと門までだけでも時間かかるだろう」
…ごもっともです。

これ以上断っても引き下がらないと啓くんも判断したか、伊藤さんの好意に甘え、僕らは車のある場所へ向かった。

伊藤さんが家に来るのか…
まあ伊藤さんは和彦さんが僕の父親だって知らないだろうし、親父とお袋だって伊藤さんが香澄ちゃんの父親だって知らないだろうから、その分気は楽か…
それでもなんかそわそわしてしまう。
お袋のことだから、涼香さんから聞いた『愛する人が側にいる』発言は、絶対に親父にも話しているだろうしな…

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