ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 271
「あれ?ゆかりさんは?…」
「お客様に挨拶よ…もうぼちぼち来初めているからね…」
「大変なんだ…」
「それゃあ、一つでも多くの商談を成立させなくちゃいけないもの…」
「僕も営業として、何か出来ることありますかね?」
「そうね…それならモデルをしないまでも、せめて家の商品を下に穿いていてよ…」
「そんなんでいいんですか?」
「目に見えることだけがアピールポイントとは限らないよ。着用率とか、社員の満足度も商品開発には重要なファクターになるの」
…なるほど。
部屋に戻る…うわぁ。
スーツ姿の女子の前でパンツ姿の男子…ここは何の品評会だ。
番号札でも付けていたら明らかに勘違いしちゃいそうだよな…
「あれ、柏原くん〜決まったんだって!おめでとう〜!」
「遥さ〜ん!これも遥さんのお蔭です。本当に有り難うございました!」
僕は遥さんに向かい深々と頭を垂れた。
「ふふ、ありがと。でもこれからが勝負だからね!」
「わかってます。ところで、遥さんはどうしてここに?」
「夏子さんからお誘いがあったの」
「またなんで…」
「社内の若い女性社員を集めて審査するんだよ。私も結構前から参加してる」
「男の子って意外と女の子の意見を参考にするもんのよ。」
夏子さんが番号札を手に横に来ていた。
「あ、それモデルに付けるんすか?」
「ええ、採点用紙に記入して貰う為に必要なのね」
…そんなの付けたら、どっかの国のショーパブと勘違いする人、絶対いますよね;