ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 270
…もしかしたら、梓がここに来なくなった理由は、美玲ちゃんたちへの嫉妬よりもそっちの方が強いかもしれないな。
「啓くん準備出来たぁ?」
外で美玲ちゃんが声をかけてくる。
「もうすぐです!」
「啓くんにはとっておきの一品を穿いてもらってるから、みんな楽しみにしてるんだからぁ」
やっぱりコレってそういうモンなんだな…
…沙織ちゃんのアレと大差ないもんね;
「何か啓くんも大変なこと引き受けちゃったよな…」
「いえ、僕は結構楽しんでますから、気にしないで大丈夫です。」
「あ、そうなのか?恥ずかしかったりするだろ?」
「そりゃあそうですけど、恥ずかしいことって快感に通じません?」
…お前なあ
と言いたかったところだが、そこで啓くんの過去やら何やらいろいろ思い出す。
そういえば、涼香さんに縛られていろいろって聞いたなあ…
…そうすると、啓くんはよほどのMなわけだ。
いや、Mにされてしまったのか。
…悲しい性だ。
それもこれも基はといえば母親の虐待たから始まったこと…
てことはゆかりさんがぁ?
子供に手を挙げているゆかりさんの姿など、想像もしたくなかった。
「やっぱり残念よね。柏原さんだっていい線いっていたのに。」
パンツを抱えた夏子さんが入って来る。
「…まだそんなにあるんですか」
「別に今日中に全部やるわけじゃないよ」
夏子さんは微笑みながら言う。
「伊藤くんも準備出来た?」
「あっ、はい」
「それじゃあ行きましょうか」
夏子さんと啓くんと3人で、先ほどの部屋へ向かう。