ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 253
「意気なりで悪いんだけど、ちょっと協力してもらえないかな?」
「もちろん喜んでです!」
「ホント?よかったぁ〜。お客としてゆっくりしていってなんて言っておきながら、ホント悪いと思っているのよ…」
「何言ってんですか。入社が決まった以上、僕はもうゆかりさんの部下なんですか、遠慮しないで何でも言ってください!」
「そう?それじゃお願いするはね♪」
「はい!それで僕は何を?」
「実はモデルくんが…急遽来れなくなちゃってぁ〜」
「………はい?………」
なんと仰いましたか、ゆかりさん…
「それで、申し訳ないんだけど、柏原くんに代わりをお願いできないかなぁって」
「…ま、マジっすか」
「ごめんね、お願い!」
ゆかりさんは可愛く両手を前で合わせてポーズをとる。
「モデルって…」
「今度の新製品のね」
「なんか…営業というより、商品開発部みたいですね…」
「勿論開発部の新商品も売り込むし、後は海外のブランド物をね…だから海外出張も多いのよ…」
女上司との出張…;
なんだか遥さんと話していたことが、現実味を帯びてきたような…
「とりあえず皆の所に行きましょう…柏原くんにフィトするものを選ばなくちゃいけないものね!」
「はあ…」
ゆかりさんに促され、部屋を出てその場所まで向かう。
「商品開発部はどんな感じなんです?」
「うちとは一緒に仕事する機会も多いから、仲はいいわよ」
「やっぱり女性が…」
「うん、あっちは基本的に若い子が多いんだよね」
「そんなに女性が多いいのなら、女性物を扱った方がいいのでは?…」
僕は素朴な疑問をぶつけてみた…
「そう思うのも当然よね…それでも開発部もうちも、初め立ち上げた時は女性のブラジャーとパーティーしか考えはいなかったのよ…」
「それなのに?…何か問題でも…?…」
「女性物は、うちのような新参者に入り込む余地はなかったことと…男性用パンツが何十年に一度あるか無いかの転換期を迎えていることが大きいはね…」
「転換期って…何です?…」
「トランクスからボクサーブリーフに変わる時期よ〜!今の若い男の子ってトランクスを一枚も持っていない子もいるぐらいですもの…」