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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 252

「と、ということは…」
「採用決定よ。これからよろしくね」
ゆかりさんが右手を僕に向かって差し出す。

「ありがとうございます!」
ゆかりさんの手を握り返し、握手を交わした。

「少し休憩した後、うちの課のみんなを紹介しようかな」

「うわぁなんだか緊張しますよ」
「悪いんだけど、今日はこの秋に売り出す新作の発表会でバタバタしていて、ろくに紹介も出来ないと思うんだけど…」
あ、そういえば遥さんがそんなこと言っていたっけか…

「あ、僕に出来ることがあれば何でも言ってください!」
「そんな気を使わなくていいのよ、今日はお客としてゆっくりと商品を見ていってちょうだい…」

少しの間休憩。
ゆかりさんは書類を整理したり次の準備と言って部屋を出て行く。
時間が来たら呼びに来てくださるそうで。

一人になったので、僕はスマホを取り出し、お袋に連絡する。
『再就職が決まったよ』
短く、そう伝えた。

暇つぶしに撮り溜めた画像を開くと、香澄ちゃんの笑顔に当る。
香澄ちゃんにもメールで知らせておこうかと指を動かすが、今日のところは止めておく。
やはり和彦さんの会社ということで、娘の香澄ちゃんには、まだ安易には伝えない方がいいと思えたんだ…

それに、啓くんのお父さんの伊藤さんのこともあるし…
お袋の言う通り、香澄ちゃんは和彦さんではなく伊藤さんの子だったとしたら…
あの当時、渦中真只中にいたであろうゆかりさんの下で、僕が働いてもいいのか?と考えてもしまう…

その関係、過去、血筋…いろいろなことがあって一筋縄ではいかないだろうが、とりあえず一歩前に進めた。
…あとは、これからなんだ。

…しばらく物思いに耽っていると、部屋のドアが開いた。
「ごめんね、待った?」
「いえ」
ゆかりさんが入ってきた。

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