ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 247
「スーツなんか着て、また面接なの?…」
「ああ、なんだか営業職なんだけど、会いたいって言う人がいるからさ…」
「うわぁ〜よかったじゃない!技術職じゃなくてもチャレンジする価値はあるんじゃない?」
「さあどうだか分かんないけど、会うだけ会ってみようと思ってね…」
「まあ、やるだけやってみるよ」
「頑張ってね」
…頑張るのは、スーツよりも中に穿いているパンツなのかもしれない…
昨日と同じように、電車に乗ってあの会社に向かう。
白鳥部長…いったいどんな人なのだろう。
拝くんの母さんだったとしたら、涼香さんと同年代なんだろうか?
…夫である伊藤さんと涼香さんとの長年の恋仲を知ってしまい、啓くんにつらく当たったという女性…
息子である啓くんには亡くなったことになっているいるけれど、その実、涼香さんの夫である和彦さんの会社で働く女性…
考えると考えるほど、白鳥部長は複雑な経歴を持った女性に思える…
そうやって思い巡らすうちに会社までたどり着く。
門の前で遥さんが待っていた。
「ごめんね、急に予定決めちゃって」
「いえ、構いませんよ」
「これから白鳥部長と面接だから」
「いやー、緊張しますよ…」
「そう気張らなくて大丈夫だよ。ほとんど柏原くんで決まったものだから」
「僕の…どこが気に入ったですかね?」
「自分ではどう思うの?」
「僕なんて見た目なんてごく普通だし、身長だって高い訳じゃないし…」
「ふふ、直接白鳥部長に聞いてみることねぇ!」
遥さんは面接室まで僕を送り届けると…
"…うぁ!"
僕の尻をキュッと揉んで、その場を去っていった。