ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 211
「匠は大丈夫?…無理して明るくしてたりしない?…」
お袋…心配なのは一番お袋だよ…
「全然ってことも無いけど、大丈夫だよ…」
「匠の部屋に啓くんが泊まるけど、一人になりたかったりしない?…」
アイツ…まあ、そうなるだろうとは思っていましたけどね…
「そんな、気ぃ使うことないって!!…返って啓くんがいてくれてた方が、気が紛れるってもんだよ…」
「そう?じゃあよろしくね」
「ああ」
お袋を背に、僕は2階に上がっていく。
振り向くと、笑顔のお袋は目尻の涙を拭っているように見えた。
心配しなくていいよ、お袋…
感謝すべきなのは、お袋じゃなくて、僕のほうなのにね…
部屋のドアを開けると、パンツ一張の啓くんがパタパタと団扇を仰いでいやがった。
オマエ…ちょっとリラックスし過ぎじゃね?…;
「あ、お兄さんすみません。。お邪魔してました。」
ホントにオジャマだとは思ってねーよな?…;
「あ、コレ借りちゃいましたぁ。」
オイ!?それって、青山家で貰ったパンツじゃねーか?;
「お兄さん、結構カッチョイイパンツ穿いてるんですね。」
それ…まだ洗濯してないんだけど………教えてやんねーよhihihi
ま、啓くんなら穿いてても似合わないわけじゃないからいいけどなぁ…
洗ってない…のは秘密にしておこう。
啓くんは僕が東京にいたときもこの部屋を使っていたんだろうし、半ば自宅みたいなもんだろうか。
男2人だけど、今はこの方が落ち着く。
「お兄さん、どうしました?」
「いや?別に…」
「また泊まるのかって…呆れてますよね…」
はい…ご名答!
「な、事も無いさ…啓くんといると落ち着くからな。」
こうでも言ってやらないとな…
「そう言って貰えると嬉しいです。僕兄弟いないじゃないですか…だからこうしているとホントの兄貴が出来たみたいで、マジに嬉しいです…」