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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 210

「そのころの親父のほうが、もっときつい決断を迫られてたんじゃないか?」
「まあ、そうかもしれないな」
大卒で教師なりたての1年目。
そんなときに、教え子が身籠ってその責任を一手に負う、それはそれでものすごく厳しく勇気ある決断だったに違いない。

「お袋のこと、当時から好きだったのか?」
「ああ…あんなに可愛い女子高生は当時いなかったぞ?今だったらアイドルになってたかもしれん」

「親父、面食いだっけ?」
「ああ、見た目で人を判断することも無いが、22のあの頃は、まだまだ子供だったのかもしれないな…」

シャワーで水を浴びる親父…最後に冷水で身体を引き締めるのは、昔と変わっていなかった。
見る見る内に収縮していく双玉を見ながら、僕は言う。
「冷たいだろ?風邪引くぞ。」
「あ?気持ちいいんだぞ。匠も上がれよ!」

ひぃ!
全身が縮み上げながらも、こんな風に洗い場に立って、親父に冷水を浴びせられた子供時代が懐かしかった。

…たった十数分のことだったけど、懐かしくて、男にしか話せないことも話せて、とても濃い時間だった。

「まあ、この先何があっても、俺はお前の味方だからな」
「ありがとう、親父」
脱衣所で体を拭き、寝間着に着替える。

…この後は妹とお袋が風呂に入る時間。
このまま親父と男2人で晩酌…と行きたいところだが、生憎親父も僕も酒はからっきし弱い。
親父の背中を眺めながら、僕は自分の部屋に向かった。

廊下にお袋が立っていた…
心配気なその顔は、今にも泣き出しそうだった。

「らしく無い顔して、どうしたんだよ?…」
「父さん…何だって?…」
「なんだぁ心配してたのかよ?」
「それゃそうよ…匠に話したって言ったら、父さん、酷く動揺してたもの…」


そうか…
風呂ではそんな気配すら見せなかったけど、本心はやっぱりそうだったんだろうか。
そりゃあ、今まで二十数年間、ずっとひた隠してきたことだもんな。

「大丈夫だよ。親父はいつもの親父だった」
「そう…」
ただひとつ言えるのは、親父に対する尊敬の念が、より強まったということだ。

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