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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 208

…ほんとは親子じゃないんだけどねぇ
それを言いたくても言えない状況である。
…それにこれは遺伝するものじゃねえだろ。

「久しぶりだなぁ、一緒に風呂って」
「ほんとだな」
…親と一緒の風呂はダサいって言われたあのときから、一緒に入るのはやめたんだっけな…

浴槽に親父と2人して浸かると流石にその隙間は無く、啓くんは仕方なくといった赴きで尻をポリポリと掻きながら風呂場を出て行く。
普段女ばかりの環境に身を置かれている分、男同士でのコミュニケーションが愛しく感じるのも分からないでもない…

それでもここは啓くんを呼び止めることはしなかった。
この家で親父と2人っきりになれる場所は、ここしかないのだ。

「どうだ、仕事は見つかりそうか?」
「ああ、見当はついた感じ」
「そうか、まあ久しぶりに実家にも帰ってきたんだし、焦らずゆっくり選べよ」
「ありがとう」

「親父こそ、今日は遅かったんだな」
「まあ、今年は3年生の担任でな…忙しいわけでなぁ」

取り留めも無い会話…それがなんだか有り難かった…

「聞いたんだってな…」

それは唐突にやってきた…
話しの流れからいって…学校の話しか、もしくは僕の就職先のことかと勘違いしそうだった…

それでも親父の呟くような小さな声を聞いて、これは紛れも無く僕たち二人のことを言っているんだと…分かってしまった。


「あ、ああ…」
いずれはわかってしまうことだが、ここで聞かれるとは思わず、しどろもどろになってしまう。

「気にするな。いずれ話さなきゃいけないことだと俺も思ってたんだ」
「まあ…その、ありがとう、親父…」
「礼を言われるまでもないさ」
親父は、いつもどおりだった。
そして、やっぱりこの人こそ僕の父親のように見えた。

「青山に会って来たんだろ?」
「ああ」

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