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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 198

「ふふ、ありがとう、匠」
そう笑うお袋の姿を見て、改めて自分はこの人の息子で本当によかったと思う。
いつだって、お袋は僕の味方なのだ。

「ふぅ…」
一息ついて、自分の部屋に行こうと思った。
「あ、そうだ」
お袋が言ってた例の求人広告、どこにあるんだろうか。

鍋をかき混ぜるお袋の背中が小さく揺れているのを見て、僕はそれを聞くことが出来なかった。

和彦さんの子供である僕を産んで、今までずっとそれを隠し通していたお袋…
親父の為なんて言っていたけど、それはきっと格式高い旧家から僕を守る為だったんだろう…

"ありがとうな…母さん…"

僕はお袋の背中に向かい、小さく頭を下げた…

自分の部屋へ。
今日は啓くんはここに来て、使うのかな?
そうするとベッドは譲ったほうがいいかな。

思えば激動の日々の連続だった。
香澄ちゃんに出会い、香澄ちゃんの家にも上がり、その規模のでかさに驚き、人間関係の濃さに驚いた。
弥生さんにも再会し、僕の生い立ちにも重要で衝撃の過去を知る。

…いろいろありすぎて、ゆっくり休む暇がなかったんだよな…

ベッドに横たわると、全身の力が抜けていく…
やはり自分では気づかずにはいたものの、緊張していたんだと今更にして思う…
リラックスしたせいでか、睡魔は直ぐにやってきた…

そんな中で…
“愛する男がずっと側にいてくれる…"

涼香さんが言っていたというその言葉が…なぜか僕の中で反復していた…

…ずいぶんと寝てたな
目が覚めると、外は夕暮れ。
栞や梓はもう帰ってきたのかな。

「匠兄ぃ、晩御飯だよー」
ドアの向こうから梓の声がする。
「はいはい」
よっこらせ、と身体を起こす。

…これが普通の日常だよね。
父親が違うったって、僕にとっては可愛い妹には変わりないんだ。

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