ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 195
「やっぱり青山家にいるっていうのは、驚いたんだろ?」
「それは初めはね…でも話しを聞いてみると、産まれた時からあそこにいるのに、啓くんったら青山くんに会ったのは二三度しか無いって言うじょない…あそこって、そんなに広いの?…」
確かに啓くんと香澄ちゃんは面識すら無かったんだもんな…
「ああ、青山家の敷地は、皇居ぐらいはあるんじゃないかな?…」
「ホント〜?それって言い過ぎじゃないの?」
「まあ…でも、それだけ広いんだぜ、あそこ。僕も一人で出歩くのは迷子になりそうで…」
「あんたは方向音痴だからねぇ」
「それは昔の話だろ…」
話が逸れそうになる。
「ところで、梓が啓くんについていって青山家に何度も行ってるのは、お袋は知ってた?」
「そんなところだろうとは思っていたは…でも外泊する訳でもないから、咎めようは無いのよ…」
Hは専らこの家でってことですかね?…
「まあ若い2人のことだから、夜昼問わずやっているんでしょうけど…」
お袋…それはそうでしょうけど、それを言ったらお終いですって;…
「梓も高校生だから、そろそろ自分のやりたいこととかわかってるでしょ」
『高校卒業したらここで働く』っていう杏さんの言葉は本当なのかな…?
「進学でも、就職でも?」
「ええ、匠だってそうだったじゃない。私は、それより先に関しては何も言えないんだもの」
まあ、お袋は、親父と結婚してからずっと専業主婦だったからな…
考えてみると、僕は相談らしき相談はお袋よりも寧ろ親父にしてきた…
それはずっと一緒に風呂に入っていたせいもあってか、男同士の裸の付合いってやつで、それこそ毛が生えた時も、始めて精通を向かえた時も、それに仮性に悩んだ時も…僕は湯槽に浸かり、親父に相談してきた…
その度に親父は適格なアドバイスをくれ、時には自らのモノを使って説明してくれたんだ…
高校に入ってから、大学進学で東京に行くか地元に残るか相談したのも…風呂の中で親父にしたんだったよな…