ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 193
「それを聞いたら、弥生さん凄く喜ぶよ!
弥生さんは弥生さんなりに、僕とのことだってお袋に悪かったって、随分気にしていたからね…」
「誤解があったのかもしれないはね…
突き放すだけ突き放して…ちゃんと互いの考えを言わなかったものね…」
お袋はしみじみと考えながら、それでも柔らかい笑顔を見せた。
「機会があれば、連れてくることもできるんじゃないかな」
「そうだといいね」
…ふと思い出した。
スマホのカメラで、香澄ちゃんたちを撮ったのだ。
それをお袋に見せてみる。
「へぇ〜、可愛い女の子がたくさんいるわね〜」
仕事を忘れてピースサインするメイド軍団の画像。
後ろでは呆れ顔の桜ちゃんがまた笑える。
「弥生、あまり変わらないな…あれ…この弥生の隣にいる金髪の女の子は誰?」
「向こうの旦那さんとの間に出来た、弥生さんのお子さんだよ…」
「よかった!やっぱり原因は、あの男の方にあったのね!」
お袋の言う“あの男"とは、弥生さんの前の旦那のことだ…
子供を授からない弥生さんのことを散々いびり倒したあの男に、このことを知らせたいのは、僕も一緒だった…
弥生さんと一緒に隣で微笑む椿ちゃん。
…もし、弥生さんが僕の前から去らなかったら、こんな幸せは来なかったのだろうか。
「お人形さんみたいで可愛いじゃない…弥生もなかなかやるわね、外国の人とだなんて…」
お袋は2人の写る画像を見てニコニコしている。
「ああ、でも旦那さんにはこの子が小さい時に先立たれちゃたみたいだから、苦労はしていると思うさ…」
「そうなの…弥生は男運が無いのかもしれないはね…」
「それって、僕も含めてだろ?…」
「匠はいい子だけど、確かにあの時は若過ぎたは…今時分に、あんな関係になっていたら…きっと一生別れることも無かったでしょうに…」