ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 152
取りあえずシャワーでも借りるか…
昨日から着っぱなしの服はよれよれで、寝汗の為か少し臭った…
こんなんじゃ女の子ばかりのこの家では、何て思われるか分からいもんな…
啓くんがソファーの脇に脱いでいった服を手に取り、僕は浴室を探した…
離れの住み込みとはいえ、しっかりとした住居。
普通サイズの浴室は存在した。
せっかくだから使わせていただきます。
…ついでに啓くんの服も洗濯してやるかな。
シャワーを浴びながらふと考えた。
…そういえば、香澄ちゃんも高校生だよな。
まさか…学校に行っていないなんてことは無いよね…?
そういえば…その道のスペシャリストの家庭教師は、何人もいるとは聞いた…
それでも部活とか、友達とか…そういう学校での生活を香澄ちゃんの口から聞いてはいなかった…
もしかして…カゴの中の鳥なのか…?
僕は湯気を上げながらバスタブに溜まっていく、水飛沫を眺めながら疑問に思う…
浴室から出て服を着る。
「匠さん、起きられましたか」
やってきたのは夕べこの部屋で酔いつぶれて寝ていたメイドの純ちゃん。
「昨日はお見苦しいところを…」
「いや、人間誰しもそういうもんさ」
「…まだ二日酔いで頭がボーッとするんです」
…そりゃあれだけ呑んでたらねえ。
「あ、着替えを持って来たんですよ。昨日から同じ服では気持ち悪いんじゃありません?」
まだ眠た気な純ちゃんが真新しい服を差し出してくれる。
「助かったよ。シャワーは借りたんだけど、服はなんか汗臭くてね;」
「よかった。下着もありますから、全部着替えちゃってくださいなぁ。さあ、お手伝いしますよぉ。」
着替えを手伝うって…徳川時代のお殿さまじゃあるまいし…冗談言わないで下さいよ…