ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 150
自分があのぐらいの歳の時は、昼間まで寝ていたよな…
考えてみるとあの頃は、こんな風に友達の部屋に泊めてもらうこともよくあったっけか…
などと、大学時代の生活を懐かしんだりもしてみる…
まあ友達の部屋も、啓くんのここと変わらないぐらいに、散らかってはいたよな…
僕は苦笑しながら、床に散乱しているSM系のエロ雑誌を拾い集めた。
…こういう趣味は啓くんかね、それともお父様かね…
部屋に女の人だって来るのに、堂々と置きっ放しはよくないんじゃないかな…
僕は散らかったエロ本の類を視界に入らないような場所にしまっていく。
…こう、隠し場所の作り方は結構自信があるんですよね…
しばらく掃除して、散らかった本は片付けることができた。
まあ啓くんがそういうのが好きだってことは、周知の事実みたいだから、今更隠すことも無いんだろうか…?
でもそれを言ったら僕だって、女好きなのは家族皆に知られていたけど、ちゃんとエロ本は隠していたよ…
これって…ジェネレーションギャップってやつなんだろうか?…
僕は入社当時、今年の新入社員は違う人種だ…と僕のことを歎いていた上司の顔が浮かんだ…
…まあ、一回りとは言わないけど、歳が離れていると考え方も違ってくるのかな…
そう思いながらベッド周りを掃除する。
ゴミ箱には、使用済みティッシュが塊になっている。
…まあ、こっちもやってるわけね…
啓くんの部屋を大体掃除し終えたところで、ソファーに座り落ち着く。
…さて、今日はどうしようか。
皆と違って呑気なもんだ…と、外から聞こえる小鳥の囀りをおじいちゃんになった気分にで耳を傾けてもみる…
と、キッキーとした自転車のブレーキの音が静寂を壊した。
覗く僕の顔を見て、「あれぇ?お兄さん!家に泊まったんですかぁあ?」
と、自転車を地面に倒したままで、啓くんは家の扉を元気よく開く。
「ああ、啓くんは何しに戻ってきたん?」
「制服に着替えに来たに決まってんじゃないですかぁ〜」
あ、そ…
まあ男同士だからって…意気なりパンツ一枚になることもないんじゃない?…