ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1166
「あっお兄さん、お久しぶりです…」
そうか僕が出て行ってから、恭介もここで暮らしているんだったな;…
それも栞のことを考えると、ちょっと心配ではあるんだけど…
「梓はもう予定日過ぎて入院してんだろ?…いいのかお前、こんなところでのんびりしていて…」
「家族みんなのご厚意もあって、もうここに住まわせてもらってるんで…大丈夫ですよ」
「まあ僕の代わりみたいなもんだからな、部屋も使ってるんだろ」
「はい…すいません」
皆でぞろぞろと家の中へ。
「おっ、匠兄ぃ、久しぶりー」
「相変わらず家の中ではだらしない格好だな…幼稚園の子供たちが見たらショックじゃないか、葵さんよ」
「もぉお…帰ってくるなり小言ぉ?…久しぶりに会った妹を可愛くは無いのか?…」
「おいおい;…可愛いいっていう歳かよ;可愛いいって言うのは家の天使たちのことを言うんだぜ…」
「あらぁあもう親ばかぁ?、確かに可愛いけど、香澄ちゃんにそっくりよねぇ…」
「まあな……」
確かに顔立ちは樹も香も香澄にそっくりだ。
でも娘の父親は僕なのは間違いないからね。
「まあ、小さい子の面倒に困ったらいつでも相談してよ、私は一応プロだしね」
「そのくらいの年齢になったら考えるよ」
「おー、匠兄ぃの子供だぁー」
栞が香澄から樹を抱かせてもらうが……ある意味予想通り、大泣きしだしてしまった。
栞にとっては、今までこんな小さい子を抱く機会なんて無かったんだから仕方がない…
まあこれから梓の子と一緒に暮らすようになるんだから、嫌でもそんな機会は増えるんだろうけどな…
「ごめんなさい栞さん…樹は人見知りが強くて…」
確かに香澄の言う通り、樹は香と違って気難しいところがあるのかもしれないな…