ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1141
「私は応募して、弥生さんと面接して採用されたんです。ご主人様のお顔を初めてご覧になったのは働き始めて数ヶ月経った後でしたね」
「そうなんだ…」
確かにここはだだっ広いし和彦さんは多忙だしそれもおかしい話ではないよね。
「週休2日保証ですから、十分リフレッシュできるんですよね!」
「僕と一緒なんだね」
「匠さんは青山コーボレーションの次期社長さんになられるんですよね?…」
「そ、それはどうだか;?…」
ちょっと焦る;…
和彦さんの義理の息子になったんだからそう思う人は大勢いるだろうけど…僕はまだまだそんな器じゃないからな;…
「匠さんが社長になって、お屋敷の主人になったらここも雰囲気が変わるかもしれませんね」
「それはそうかもしれないけど、僕にはまだ早いし、跡継ぎの権利があるのかも知らないのに…」
茜ちゃんは変わらず微笑む。
「匠さんのありのままの姿を見せればいいと思います。普通に、素の自分を…」
茜ちゃんが僕に寄り添うようにソファに座り、身体が密着する。
「素の僕を?…」
「そう…普段の状態のままの匠さんを…私も見てみたいは…」
膝の上に置かれた手がゆっくりと太股を上がってくる…
素の僕って;…そういうこと;?…
「あっいや;…こっちの普段の状態は、自信無いんだけど;…」
「そんな匠さんでも、こうすれば、すぐに逞しくなるんですよ、ね?」
茜ちゃんは太腿に這わせた手をスーッと上に上に登らせ、そっとさすっていく。
ちょっとくすぐったい。しかしその期待している部分は確実に興奮している。
やっぱり最初からその気だったんだな…
茜ちゃんは僕にじりっと顔を寄せ、唇を近づける。
僕もその期待に応えるように、そっと重ね合わせた。