ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1122
「高校生時代の匠さんって、どんな男の子だったんですか?…」
ああそうか…
香澄は僕と弥生さんがそういう関係だったのは知っているんだもんな…
「そうね…ある面では今と全く変わらないし…違う面では凄い成長したと思うは…」
弥生さんの言葉を聞きながら、あの頃のことを思い出す。
お袋の同級生で大親友の弥生さんは昔から知っていた。
そんな弥生さんが家に頻繁にやってくるようになったのは高校生の頃のこと…
「匠くん、お帰りなさい」
ある日の夕方、お袋がいないのに弥生さんだけが一人、リビングにいた。
その元気のなさそうな表情が心配になった。
弥生さんが旦那さんの母親と上手くいっていないことは、誰に聞くでもなしに知っていた…
多分今日も姑さんに嫌味を言われて落ち込んでいるんだろう…
「あれ?…お袋は…?」
「うんカルチャーセンターで習い事だって…匠くんも帰って来たことだし…私もそろそろ帰らくちゃね…」
「あっ、ちょっと、待ってください…」
「?…どうしたの?」
「いえ…お袋も遅そうですし、妹たちも部活とかで遅いですし、もっとゆっくりしていて大丈夫ですよ…」
「そう?なんか悪いわね…」
帰りが遅くなるのは本当のこと。
でも、もっと弥生さんと一緒にいたい気持ちもあった。
この頃、僕は弥生さんを本気で好きになっていたのだ。
この時の弥生さんは34歳…
考えてみると、女として満開の時期だったんだよな…
そんな女盛りの弥生さんに、思春期真っ只中の僕が惹かれたのも無理もない…
男の17歳っていえば、そういう歳上の女性に憧れる時期だしな…