ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1121
ちょうどいい機会だから話してみてもいいかもしれないな。
弥生さんがいるからウソも誇張もない話だ。
「私も匠さんの若い頃の話聞きたいです〜」
…君もいたのか、椿ちゃん。
まあいいだろう。
「高校までは野球部だったんだ。そこまで強くなくて甲子園なんて夢のまた夢だったけどね」
「ああそれでぇ、匠さんのお尻ってがっちりしてるんですねぇ〜」
おいっそっちかよ;…
まあ野球やってる奴の臀部って、しっかりしている奴は多いけどさ;…
「あらぁそうかしら?…私は匠くんのお尻、かっこいいと思うけど…」
弥生さん;…誰も別に、僕の尻がカッコ悪いなんて言ってませんがね;…
「匠さんはキャッチャーだったんですね」
「いや、どうしてそんな」
「匠さんのお尻が」
…キャッチャーは宏がやってたんだけどなぁ。
ちなみに僕はサードだったんだけど。
「しかし急ね、ジムに通うなんて」
「お腹周りに危機感を感じたんですよ…」
「へぇえ…そうなんですかぁ?…」
ちょっとちょっと椿ちゃん;…そう言いながらシャツを捲り上げるのは止めてくれません?;…
「あらぁ、随分貫禄ついたのねぇ…高校生の時はあんなにスレンダーだったのにぃ…」
弥生さん;…あの時の僕と比べるのは止めてくださいよ;…
…むしろ弥生さんがスレンダーに見えるのは気のせいだろうか。
「歳を取るとこうなっちゃうんですね、恥ずかしい限りで」
「匠くんはまだまだ若いよ」
「これでもあと数年で30ですよ」
「大台ね、ようこそ、って感じかしら」
…どういう歓迎の仕方ですか、弥生さん。