ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1077
まあ、お袋と新庄の関係が本当に続いているのかもわからないけど…あの時見た姿も、お袋がうっとしながらアイツとやってるのも僕は見て、聞いているんだから…
終業時刻を回る。
「匠さん、終わりそうですか?」
沙織ちゃんが尋ねる。
「ああ、もうすぐね」
「今日、結局私と葉月と美月さんが参加することになりましたんで」
「あれ?…美玲ちゃんは…?」
美玲ちゃんがいると話しずらいとは思ったけど、来ないと思うとちょっとがっかりだ…
「美玲は用事があるとか言っていたけど…」
「そうか…それなら仕方ないか…」
美玲ちゃんとはまたの機会に時間を取らなくちゃだな…
「美月さん、いいの?」
「沙織から聞いたの…匠くんのためなら、なんだって力になるわ」
「ああ…」
今朝いろいろ問い詰めたのだろうか。
同い年なのに漂う姉御肌感。
僕らは会社の門の前でもう一度集まり、目的の店に向かった。
店の選択はやっぱり美月さん…
そういうことにたけている沙織ちゃんも、ここは先輩に譲ったんだろうね…
「ゆっくり話しが聞きたかったから個室にして貰ったのよ…隣の席を気にしながら話すのも嫌でしょ?…」
「あ、まあ;…」
すっかり僕の話しを聞く気になっているって訳か;…
こうして構えられると、ちょっと戸惑っちゃうけどな;…
個室のブースに男1人と女の子3人。
職場の同僚ですと説明しても通用するか微妙な取り合わせ。
「ドリンクの注文はこれで呼び出すのね」
「今日は匠さんのお話を聞きたいのでアルコールは控えめにしましょう」
「悪いね…僕のために、なんか…」
「そんなことないです、匠さんと新庄さんの間でギスギスして職場の雰囲気を悪化させたくないですから…」