ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1039
純ちゃんは絡めた腕をさらに僕の脇腹に押し付ける。
ちょっと、そうすると胸が…あ、結構あるな、こんなにあったっけ?
「ふふふっ」
「誰か見てたらどうするんだよ」
「今は大丈夫です、ほら、すぐに私の家に着きました」
そう言って純ちゃんはマンションを指さす。
「--うぇっ?!…あそこなの?…;」
そこは今さっき僕が出て来たばかりのマンション;…
よりにもよって葉月ちゃんと同じマンションだとはね;…
「あらぁ、誰か知り合いでも住んでいるの…?」
「あっ、いや…;」
会社の子と言えばいいのだけど、数時間前までその葉月ちゃんとこの中でセックスしていたと思うと口ごもっちゃうよな;…
「まあ、いいですか。私の部屋は3階なんで…」
純ちゃんについて行く形で再びマンションの中へ。
葉月ちゃんの部屋より下の階だけど、おかしな奴だと思われたりしないかな…
エレベーターに乗り込み3階まで。
「純ちゃん、他に誰か部屋に呼んだりするの?」
「ないですね〜、出版社の担当のお姉さんとお茶するくらいかなぁ」
「そ、そうなんだ…」
男の影は無しか…
あれから彼氏が出来たってことも無いんだろうな…
「せっかく広い部屋に越して来たっていうのに寂しいもんよ…男の人を招き入れるのも匠さんが初めてなんですよ…」
ってことは……僕以外の男とはまだ寝てはいないってことなのかな?
「純ちゃん、男との接点はないのかい」
「全くですね…まあ、無理やり作る気もないですけど」
あっけらかんと純ちゃんは笑顔で言い放つ。
じゃあ僕は一体なんなんだろう。
「匠さんは特別なんですよ」
「えっ?」
「まあ、ゆっくりしててください」