ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1030
うぇ!?…
それって誘われていると思っていいんでしょうか;…?
「で、できる女だなんて…葉月ちゃんは充分にできる女だと思うけど;…」
こないだなんて、初めてとは思え無いほどにいろいろヤッて貰っちゃったし;…
「私なんてまだまだですよ…何しろライバルがいっぱいですもの…」
確かに店内の女性たちの大半は、瞳にハートマークを輝かせ板前のことを見詰めていた。
「私はついこの前まで処女でしたもん…今勝負を挑もうとしても絶対通用しないですよ。だから、匠さん、私を…」
「葉月ちゃん…」
その先の言葉はわかっていた。
葉月ちゃんの初めては僕が奪った。
その葉月ちゃんを、さらに女として…
「僕でいいなら」
ここまで言われたら一肌脱ぐしかないだろう…
葉月ちゃんは素質は充分なんだから、ここにいる女性陣なんかには負けてはいられないもんね…
「もうお帰りですか?…」
はちまきを外しながら、葉月ちゃんの思い人がやって来る…
コイツの為にこれから…か、
そう思うと些か複雑ではあるけど;…
「ごちそうさまでした」
その彼に葉月ちゃんはお会計の札を手渡す…あっ、ちょっと?
「今日は私に出させてください。この前のお礼も兼ねてです」
そういって微笑む葉月ちゃん。
「匠さんにはこの後…」
男としては、むしろこの後頑張らないといけない、ってことか。
今回はしっかりした足取りで電車を乗り継ぎ、葉月ちゃんの自宅マンションへと向かう。
繁華街を抜け、路地を入った暗がりに見えるカップルは、肩を寄せ合いラブラブだった…
なんだかこっちまで刺激を受け、僕は葉月ちゃんの肩をそっと抱き寄せる。
「ふふ…誰かに見られたらまずくありません?…」
そうは言うものの葉月ちゃんは満更でも無い様子…
僕はカップルを気にしながらその身体を抱き締める…
車のスポットライトがカップルを照らし出す…
えっ…?