ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1010
冗談だろ?…そう思いながらもドキドキしてしまう;…
「大人をからかうなよ;…そういうことはちゃんと好きな人としないといけないよ…」
最もらしいことを言って頭を掻く…
「私…ちゃんと匠さんのこと好きです…多分今付き合っている彼氏よりも…」
うぇっ?!…
そ、そんなこと聞いてないよ;…
「あ、あのさ、僕は…」
「わかってます。奥様もお子さんもいることは…お母さんから聞いてます」
うろたえる僕に冬美ちゃんは表情を変えずに言う。
「前に言いましたよね。私、年上の男の人が好きって…匠さんも私の…」
その姿に、堪えていた欲望が限界を越えそうになる。
手の平に汗が湧き出てきて、僕はぐっとそれを握り締める…
「そう言って貰えて光栄だけど…そういうことは互いの気持ちが大切なんだな…」
「それって…私には興味は無いってことですか?…」
眼を見開く冬美ちゃん…
その瞳は次第に潤んでくる…
「そんなことはない、そういうわけじゃないんだ、でも…」
冬美ちゃんは僕にじりじりと近づき、その両腕を僕の肩に回す。
「匠さんのこと、好きなんです…たとえ報われなくても、そういう関係だけでもいいんです!お母さんには、気持ちを伝えました」
夏子さん、まさか…冬美ちゃんのことを思って、こんな機会を…
まさかそんなこと…?
それでもここで僕が拒んだとしても、遅かれ早かれ冬美ちゃんは彼氏とやらと初体験を迎えてしまうんだろう…
何も知らない初めて同士…そんなのいい想い出になる訳ないよな…
ここは娘を思う夏子さんの為にも、僕が一肌脱ぐしかないのか…?