PiPi's World 投稿小説

海から始まる恋
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 15
 17
の最後へ

海から始まる恋 17

その頃になるとクラゲに誘われた水泳部員の大半が触手に引き寄せられていた。触手が足りないので何人かはまだ掴まってないのだが、余った者達も真下に集まって引き上げられる順番を待っている。
クラゲの本体は異様なほどに膨れ上がっている。
 店員は、その巨大クラゲの様子を見て、みるみるかなり険しい顔になっていった。
 「まずいな」
 店員はそう言ってカウンターに戻り、その奥の扉を開き、布に包まれたものを取り出した。
 店員は急ぎ、その布の中身を取り出す。背の高さの3分の2はあろうかと思う、杖。
 「昔を思い出して、私も戦う」
 その店員は、せいぜい二十代くらいに見えたので「昔」という言葉はちょっと奇妙に聞こえたが、エルフもいるような世界なのだから、この店員、実は数百歳、は有り得る、と思った。
不気味に膨れ上がったクラゲは少しずつ降りてきていた。あまりに人を捕まえすぎて高度を維持できなくなったのかもしれない。
とにかくそれにより戦いやすくはなってはいる。当然、中の様子もこちらにはっきり見えることとなった。


 杖を持った店員はまっすぐに店の出口へと早足で歩いた。
 「あの、やくそうと、まほうのせいすい、お願いします」
 「あ、すみません」
 店員はカウンターに戻って、草と、液体が入った小瓶を麻っぽい袋に入れた。
 「あの、あと、僕は、何か手伝うことは、できないでしょうか?」
 一応、男として、見ているだけなのはあまりに情けない気がしていた。
 「はい…、じゃあ、しまってある剣を、お貸しします」
 店員は再び奥の部屋に行き、古びた長細い箱を取り出してきた。
素人が剣を手に戦うのは危険だと思えた、しかしクラゲに捕まっている部員の様子を見る限り凶暴なモンスターではないのだろうという余裕もあった。

「おい!クラゲから離れろ!捕まるぞ!」
クラゲの真下に集まっている部員達が邪魔で剣を振れそうにないので声をかけた。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す