海から始まる恋 12
「海パンはあるから、戻ってこい」
コーチの言葉に、海パンを剥ぎ取られた彼らは、今度は股間を隠しながらコーチについて行った。
その中には彩さんとの行為は終わったのか高山航太郎の姿もあった。
「じゃあ、君、冷たいものでも飲む?」
詩織さんは海の家とかがある方にちょっと視線を向けながら言った。
「大丈夫。この続きは、あとでゆっくり、やろ」
恐らくはあのコーチはこちらに気づいて居るのだろう。こちらを見ないようにしていた。
それは気遣いではなく、水泳部が輪姦をしようとしていた事を無かったことにしたいのかもしれない。
彼等がやっていたのは覗きだけで、すぐに去ったから大事になってほしくはない気持ちはあった。
海の家で瓶に入ったオレンジジュースを飲みながら彼等を探した。
ここからは岩場がよく見える。流石に今まで居た場所は見えないが…。
岩場に入る前は大勢居たはずの海水浴客は全く姿が見えなくなっていた。やはりここは別の世界なのだろうか。
そもそもあんな巨大な触手に水泳部員の集団が襲われればもっと騒ぎになってもおかしくないはずだ。
海水浴客が全く居ないので、部員の集団を見つけることが出来た。
彼等はまだ競パンを拾えてないらしく裸のままだった。彼等の水着はどこまで遠くに投げられてしまったのだろうか…。
がらんとした砂浜にはそれらしい黒いものが落ちてないように見えた。
「あの、詩織さん」
「何?」
僕達は海岸から離れるように歩く。
「あの、あの人たち」
僕は振り向いて全裸の男子高校生集団を示しながら言った。
「あの人たちの…海パン、ってどうなったんでしょうか、とか、聞いてもいいのでしょうか?」