崩壊した世界で 3
「ほら!生きたければさっさと逃げるよ!」
そのまま彼女を起こし急いでバイクに戻り、二人乗りになってアクセルを吹かしその場を後にした。
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「あの、大丈夫?どこか噛まれてない?」
「あ、うん。大丈夫……ありがとう……」
走りながらユーリはサイドカーからアニーの後ろにいる女子高生に話しかけていた。茶髪のポニーテールに白のシャツと赤と黒のチェック柄のミニスカート、胸はアニー程ではないが巨乳で密着しているのでアニーの背中でひしゃげていた。女子高生には擦り傷はあったが、他に目立った外傷はなかった。続いて女子高生がアニーに質問した。
「あの、どうして私を助けてくれたのですか?」
「あー、それはえーと……無我夢中?」
本当は助けたら食糧を分けて貰えるかもしれないとは言えず作り笑いで頬を掻くアニーであった。
「ところで……えーと、名前は?」
「…リズです」
「リズ、あなたが今日まで生きてるってことはどっかに拠点があるの?」
「は……はい。湾岸の埋め立て地に建てられた学校で生活しています」
「わかった。じゃあそこまで案内してくれるかしら?」
「はい、よろしくお願いいします!」
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アーステン学園。街の湾岸から300m離れた場所に作られた埋め立て地に建てられた中高一貫の学校で、広さは1km四方におよぶ。独立した電力をもち、半月型の校舎の屋上には太陽光発電パネル、崖沿いの一部には風力発電が備えられている。進入ルートは一本橋しかなく、ほかは鼠返しのように反り返った崖になっている。まさに拠点にするにはうってつけの場所である。
その橋の上を三人が乗ったバイクが進んでいく。
橋は乗り捨てられた車が点々と散乱しており、中にはぶつかって炎上したものもあった。それらをよけながら進むと、校門前に椅子や机を高く積み上げたバリケードが立ち塞がった。
「バイクはここまでです。どうぞこちらに」
リズに案内され、アニーとユーリはバリケードの隙間、四つん這いで入れる穴の前にきた。まずはリズ、次にユーリ、最後にアニーが入っていく。
「けっこう狭いね」
「大丈夫?すぐに出られるか……きゃっ!?」
と、ここでハプニングが起こった。リズのスカートが机か椅子の足に引っ掛かったのだ。さらに急に止まったのでユーリはそのままスカートの中に顔を突っ込ませてしまったのだ。
「えっ?」
「ちょっ、恥ずかしいっ!離れて!」
ユーリの顔が、柔らかいが砂っぽい素肌とぶつかる。
彼女のお尻に当たってしまったのだ。
「ごめんなさいっ!」
「もうっ!」
ユーリは慌てて身を引いたのだが、直後に気付いてしまった。
彼女がノーパンだった事に。
じたばたしているうちに、何とかひっかかりが外せたらしくリズは前に進みだした。
「ほら、着いたわ」
まだ恥ずかしそうなリズを先頭に、三人はバリケードを潜り抜けた。
「リズ!!」
すると一人の少女が此方に走って近づいてきた。赤茶色の髪を三つ編みに二つにまとめたメガネをかけたおとなしそうな女の子だった。彼女はブルマの体操服を着ており、リズと同じく巨乳で走る度にポヨンポヨンと揺れていた。
その少女は息を切らしながらリズに近寄りそのまま抱き締めた。
「よかった!生きてたよーー!リズー!」
「はいはいドロシー、泣かないで」
おそらく友人であろうドロシーとの再開にギュッと抱き締め返すリズ。
「あっ、そうだ。メグミ先生は?」
「多分気付いているからもうすぐ来ると……」
「動かないで…!」