撮ってヤル。 20
美咲ちゃんとのデート?の話は3人にはもちろん言ってはいない。彼女たちとは文化祭の話もしていないのでここにいるかはわからないが、もし見られていたらどうなってしまうのか。
「もうちょっといろいろ回ったら、誰も来ないようなとこに行こ」
「ああ…」
そう言えば美咲ちゃん、ミスコンの話はどうなったのだろう、ノミネートはしてたとは思うけど…
聞いてみることにした。
「なあ、美咲ちゃん、ミスコンにノミネートされた話って、どうなったの?」
「え、言ってなかったっけ?ファイナリストに選ばれたんだよ。今日の夕方に決まるの!」
「ええっ、ファイナリスト!」
「そう。ファイナリスト5人の1人になったの」
「5人に選ばれたのか。それはすごい」
そりゃ、今まで出会った中でトップクラスの美人である。いったい何人の中から選ばれての5人なんだろう。そしてそんな存在の彼女とデート?してる俺って…
「選ばれても選ばれなくても、龍一くんもその時を見守っていてくれたら嬉しいな」
「もちろん…美咲ちゃんほどの子ならきっと選ばれるんじゃないかな」
「ふふっ、ありがと。だから、その時間までに…」
美咲ちゃんは俺の手を軽く握って前へと歩き、校舎に入った。
そして、この前二人で過ごした多目的トイレの前で美咲ちゃんは耳打ちする。
「もう少し回ったらここ来よう」
そして、普通の音量に切り替えて
「模擬店回ろう!なに食べたい?」
と言って美咲ちゃんは再び歩き出す。
僕の腕を少しだけ強引に組んで歩き始める美咲ちゃんに、やれやれと思いながら歩くペースを合わせる俺。
模擬店をくるりと回って、それなりにお腹を満たす。
「どれも美味しいよね〜」
「そうだね」
美咲ちゃんを見てるだけでお腹いっぱいになりそうなのはさておき。
特設ステージのほうがにぎやかになる。
そういえばアイドルがやってくるんだったな。