メイドさんに不可能はない 3
すでにメイド服を脱いでいた莉菜さんが浴室の扉を開け中に入ってきた。
肌は白く、すらりとした長い手足、スレンダーながら出るとこは出ていて、もしかしたら、結構な巨乳かもしれない。
「り、り、莉菜さんっ」
「そのままでいてくださいねぇ」
「あ、あの、僕はそんな…」
「これもメイドの務めでございます。遠慮なさらずに♪」
戸惑う僕をよそに、莉菜さんはスポンジを手に取りボディソープをつけて泡立て、僕の背中を優しくこする。
痛くもなく、かといってくすぐったいこともない、実に心地の良い擦り方。
そのまま莉菜さんに身を委ねたい気持ちになっていく。
「ずっと一人で、寂しかったんですよね」
「…………莉菜さん?」
「でも、もう大丈夫です」
「………はい」
優しい言葉に、こみ上げてくるものがあった。
「莉菜、さん、っ」
莉菜さんの優しい言葉が、僕の今までの人生の重さ、つらさ、寂しさを全部忘れさせてくれるような気がして、涙まで溢れてきて、言葉がもう出なかった。
「いっぱい泣いてください」
莉菜さんはそう言って、シャワーを手に取って温かいお湯で背中を流してくれた。
涙は枯れたと思っていた。でもそうじゃなかった。
久しぶりに、大声で泣いたかもしれなかった。
「ご主人様の悲しい涙は、今日で終わりにいたしましょう」
一通り体を洗ってもらって僕は湯船の中に身体を浸からせた。
莉菜さんは自分の身体をシャワーで洗い流している。メイドさんとして精力的に働いてくれて、相当汗かいてるだろうな。ゆっくり流してほしい。
長い黒髪は濡れるとさらに艶めいてて綺麗だ。体型はモデルさんみたいで美しい。メイド服を脱ぐとどこにでもいそうな普通の優しいお姉さんって感じがする。
「莉菜さんって、おいくつですか?」
「ふふっ、ご主人様からはいくつに見えるでしょうか」
「うーん……二十…」
「ふふ、実は……18です」
「えっ!?」
予想外の答えだった。
すごく落ち着いていて、料理洗濯掃除、家事何でもできて、すごい美人でスタイルもよくて……正直もっと年上だと思っていた。
「なんかすいません」
「いえいえ。年上にみられることは結構多いので」
で、ですよねえ。
では、18歳の莉菜さんがなぜ派遣メイドサービスに登録していたのか。
莉菜さんも、僕みたいな事情を抱えていたりするのだろうか。すごく気になった。