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ネットカフェの罠
官能リレー小説 - その他

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ネットカフェの罠 7

その日の夕方4時52分。
「あの、アルバイト募集してませんか?」
受付のアンドロイド嬢が「お待ち下さい」と内線で研究室に連絡を入れてきた。
店内防犯カメラと隠しカメラで確認する。
検索すると都内大学に在籍する経済学部の女子大生二十歳、柳沢夕美(やなぎさわゆみ)だと判明。暮らしている賃貸アパートから大学に通う途中にあるこの店でアルバイトしたいと思ったようだ。
一時間後。
研究室の人体整形カプセルの液体の中で、全裸で酸素マスクをつけた状態で柳沢夕美は体は睡眠中、意識ははっきりしたまま髪をゆらして浮かんでいた。
「君の父親とは同じ大学に通っていた親友だったんだがね。ずいぶん昔の話だが、君は真理にそっくりだな」
柳沢圭吾、夕美の父親。今は有名企業でアンドロイド開発の第一人者としてたまに経済誌などで取材される有名人である。
そして、夕美の母親、真理(まり)はセックスをして眠っている間に、アンドロイド開発のデータを盗み出し圭吾に渡した。
十年前に癌で病死したと聞いている。
「圭吾を恨んではいない。圭吾がアンドロイド開発技術を企業に売ったおかげで、アンドロイド化整形技術が広まったのだから……」
ガラス張りの円筒の水槽のようなカプセルの中で、夕美の吐き出した息が気泡になって、ゆらゆらとのぼってゆく。
「アイデアはあったが資金はなかったからね。圭吾が企業に売らなければ、私が売っていたはずだ」
夕美の頬、うなじ、両腕の上腕、太股、尻、足首、背中、ふくらはぎ……カプセル内の液体の中でロボットアームが小さな針先を刺して体内の血管にナノサイズのマシンを流し込んでゆく。
「始めから加工品の部品を移植するよりもね、肉体の細胞に組み込むほうが一生交換しなくていいので便利なのだよ」
全身美容整形が頭脳以外のアンドロイド化の技術であり、機械人形をプログラムによって人間化させるのがアンドロイド技術ならば、この研究者はそのどちらも目指していない。
「夕美、君は今から失われた過去の真理の身代わりとして生きてもらう。君は研究の最高の素材だよ。今度こそ君を……」
全身にナノマシンを移植させたのは、アンドロイド化した全身美容整形した女性たちと同じように、快感に溺れさせるため。
そして、夕美の母親の真理が病を発症した遺伝子に干渉して、同じ病の発症を封じるためでもある。
異物であるナノマシンが夕美の遺伝子レベルを侵食して犯してゆく。
生肉から寄生虫を摂取してしまい脳に達したことが原因で起きる、神経嚢虫症という症状がある。
吐き気、痙攣、意識障害、その他には一時的な握力や脚力の急激な低下など、症例がさまざまなために他の病と誤診されやすい。
しかし、ナノマシンは目に見えないほど極小な上に脳細胞として同化するために、自覚症状といったものはない。
ナノマシンを移植させ、初めから人間に近いロボットであるアンドロイドではなく、後天的にナノマシンによるロボット化、つまりサイボーグ化の実験を夕美を被験体にして試すことにしたわけだ。

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