モブの催眠生活 8
僕たちは校舎に向かって多少早足で歩いた。
晶は、さっきよりやや僕に近づいた場所を並んで歩いた。
「私、セックスって、1回しかやったことないんだ」
「北沢と?」
「そう、よく分かったね…何で北沢とやったんだか、全然覚えてないけど、でも、すごく気持ちよかったことは、覚えてるんだ」
僕は黙って晶の話を聞いた。
「男も女も、気持ちいいこと求めるのは、変わらないと、思うんだあ」
「そうだよね」
セックスは気持ちいいという実感はあっても、女からセックスしたいと言うのだけは抑えているのだろう。多分これは催眠でなく、普通の常識として。
朝、北沢が来る前なら、少なくとも射精の自由は残っていることがわかった。
さきの、彩の彼氏が昨日の放課後どうしたか、という会話は時系列的にはこのあとだ。
僕は、彩にこう続けた。
「彼氏がもし、全然セックスしてこなかったら、淋しい?」
「え、何よそれ…ええ、ううん、そりゃあ、まあ、そう、よ」
「じゃあ、彼氏に“放課後じゃなくて朝早く学校で会おう”って提案するといいかも」
「何で?」
「昨日みたいにいきなり射精があるかもしれないじゃん。その前なら、男は元気だ」
「いきなり射精って必ず昼間起こるものなの?」
「え、ええと、それは、ある仮説があって…」
その時、ホームルーム始まりのチャイムが鳴り、彩は席に戻って行った。
「ありがとう。気使ってくれて」
彩はニコっと笑った。僕も笑顔を返した。
思えば、僕が人がセックスできるように何かしたことなんて、初めてかもしれない。
ちょっと前の童貞の僕だったら絶対そんなことは思いもしなかっただろう。
僕は、いいことをしたという気分でいっぱいだった。
強制的に射精させられる前に…でも…
僕はふと思った。
強制的に射精させられるとき、もしうまくチンチンが膣内にあったら、それはセックスしていることになるのではないか?
そういうことは可能か、北沢が催眠を開始してから強制的に射精されるまでの時間にそれを実現させられるか、僕はホームルーム中と次の授業中を使って作戦を立案した。
と言ってもたいした事をする訳じゃない。
要は北沢が教室から姿を消し、校内放送でイタズラする気配を見せたら、女の子とセックスすれば良いだけの事だ。
何せ頼めば女の子なら誰でも挿れさせてくれるんだ、そう難しく考える必要なんてない。
我ながら完璧な作戦に惚れ惚れしてしまいそうになる。
さあ来い北沢!
………
……
…
だがいくら待っても、北沢の男子に対するイタズラは行われなかった。
ヤツはと言うといつも通り女の子を取っ替え引っ替え犯し、お気楽に中出しを楽しみ一日を過ごしていた。
どうやら完全に昨日の事には興味はもう無く、女の子とのセックスに没頭しているようだ。
放課後になった今、北沢は新体操部の女子にレオタードを着せてリボン拘束プレイを楽しんでいた。
クソ…!
変に警戒し過ぎて、今日はろくに女の子とエッチな事を出来なかったぞ。
帰る前に誰でもいいからエッチしないとムラムラとムカムカで落ち着けそうに無い。
僕は今日のオカズを何にするか考える。
「そうだ、吹奏楽部に行こう」
確か彼女達の公式ユニホームはどことなく某吹奏楽アニメのコスチュームと似た感じだったはず。
北沢の設定のお陰で部活中は着用しているはずだから、それでして貰おう。
そうと決めると僕は音楽室に急いだ。