アイドル アンダーグラウンド 21
愛衣と舞衣にからかわれながらも優奈はホワホワとした笑顔を絶やさない。
若葉が後ろでそれを見守っている。
彼女たちの仲の良さがわかる光景だ。
池から少し離れたところにバーベキューを行う施設が見えてくる。
「さあ、始めましょうかね〜」
「な、何をですか、優奈さん?」
理桜だけが状況についていけない。若葉、愛衣、舞衣はニコニコして理桜を見つめる。
にこやかな雰囲気に理桜はなにか楽しい事をしてもらえるのかもと思い、追求をやめた。
バーベキュー施設は手ぶらでバーベキューが売りで事前に予約をしておけば食材の準備もしてくれる優れもの。受付をすませると人数分の食材とライターを渡される。穴場的スポットなのか、繁盛してはいるが混雑といったほどではない。若葉は撮影もあるからと少し離れたところにある周囲に人のいないコンロのところへと向かう。
それぞれが少し離れたところで作業を行い、自然にしながら葵の撮影をしやすいように努める。
自炊もする若葉はテキパキと作業をこなし理桜はそれを羨望の眼差しで見つめる。
「よし、一番いいお肉をリオちんにあげるよ!」
舞衣が分厚いステーキ用の肉を焼き始める。
肉の焼けるイイ匂いがし始めると次第にみんなコンロに集まり一列に並ぶ、自分達にも葵にも煙の行かないポジションに陣取り、バーベキューパーティーが始まる。
本能型の愛衣と舞衣が次々と食材をコンロに置こうとするのを若葉がそれとなく気をそらせ手綱を握る。
理桜は先輩たちのリクエストを聞きながら飲み物をコップに注いで回る。
優奈はそんな4人を見ながら手持ち無沙汰といった様子だ。
肉がいい具合に焼きあがると、若葉が一緒に焼いた野菜などと合わせてお皿に盛りつけ、それぞれに手渡していく。
「では、みんなでいただきましょう」
若葉がここも音頭をとる。
「今日は撮影があるのももちろん、これは理桜ちゃんの歓迎会でもあるんだ」
「ワカちんが計画したんだよねー」
「新しい仲間が加わって、より頑張っていこうってことで、乾杯!」
「かんぱーい!」
5人がコップを突き合わせる。