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欲望の対象
官能リレー小説 - その他

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欲望の対象 1

行楽シーズンではないとはいえ、リゾートホテルのプールには誰もおらず冷たくシーンとした空気が張り詰めていた。

監視員の姿すらない空間に、一人旅で訪れていた京極柊真(きょうごく・しゅうま)は海パン姿でその辺にあったベンチに座り込んだ。
空いているのはいいがこれではさすがに泳ぐ気すら失せる。

彼女もなく友人も少ない彼の趣味が一人旅。
育ちのいい彼に思いを寄せる者もいるにはいるが彼自身が大して興味がなく話も進展しない。
柊真自身も一人でいることが一番の楽しみと思っている。


しかし、だ。
今置かれた環境はさすがの彼でも参ってしまう状況だ。
仕方なく自分の部屋に戻るか…柊真がそう思った瞬間、変化は訪れた。

プールに新たな人影が現れた。
この際だから監視員か清掃員でもいいか、と思った柊真の予想をいい意味で裏切る来客だった。

「……!!」

若い女性の旅行客だった。
ここにチェックインしてからまだすれ違ったことのない顔だ。
顔立ちは幼いがすらりとしたモデル体型で、それなのに豊満な胸と肉付きのいいお尻の持ち主。
黒のセクシーなビキニでそれを見せつけるように柊真の眼前に現れたのだ。

「ねえ、あたしの水着姿ってどう?」
「いいと思うよ」
「どんな所が?」
「色白だし、お嬢様系の顔で…」
「顔以外は?」
「胸も…いいね。大きいし…もしかして地下アイドルとか?」
「ちがーう!二十年前の企画が復活したの。それで、このエリアでグランプリを目指してるところ」
「そんな昔の…詳しく聞かせて」
「えぇっ!マジで?」
柊真が驚くのも無理はない。制グラなるイベントは未成年がヘアヌード撮影もするというものだからである。

柊真の少年時代の話である。
言葉自体は聞いたことがあるが、何なのかはわからなかった。

「君はこの近くの子なのかい」
「一応、このホテルの関係者っていうか。暇があったら泳いだりするよ」
「君みたいな美少女はこのエリアにはなかなかいないだろう」
「ありがと、お兄さんいい人だね」
少女が笑顔を見せた。
なかなか人懐こい子だと柊真は感じた。

「ちょっと、いいかい?」
「はい、なんです?」
「思うんだが、制服が似合う美少女で脱ぐ度胸があるってだけで、簡単に上に行けるのかい?」
「こう見えても結構動けるんです」
「まさかビキニカラテ?いや、暗黒太極拳か」
「定められた十二の流派のうちの一つです。腰を視点にして上体を上下に振り、腕全体を上から下ろす『劈』と下から打ち上げる『掛』、打撃には掌を使います。特に重要なのは足運びで、曲線的に」
「おわっ!」
柊真は遠い間合いと油断していたら、軽く押されただけであっさりバランスを崩されてプールに落ちた。

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