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バニッシュ!!
官能リレー小説 - その他

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バニッシュ!! 1

夜の帳がすっかりと落ちた街。
人影も殆ど無く静まり返った街を一人の少年が疾走していた。
歳の頃は10代前半。
必死で走るその様は、鍛錬とか修行とかそう言うものでない。
むしろそこから遠いようなひ弱な少年だ。
何かから逃げていると言う表現の方が合うだろう。
公園らしき場所で息を切らして立ち止まり、不安そうな表情で周囲を見渡す。
「だから、逃げられねえって」
その声に少年はビクッと震えながら周囲をみる。
そして、その視線が上空で止まり恐怖に見開かれる。

そう、それは上空にいた。
人の形に似ているが、人とは全く違った異形・・・
紫の肌に頭には角。
そして背中にはコウモリのような羽根。
悪魔と言う表現がしっくりくる姿だ。
「逃げても無駄だから、その旨そうな魂を置いていきな」
まるで仔ウサギを追い詰めて狩るが如く、その悪魔はニヤリと笑う。
遊んでいるのだ。
少年に絶望を与える為に。
まさしくその所業は悪魔。
「とりあえずじわじわ殺すから逃げてもいいぜ」
少年を言葉で嬲りながら、悪魔は大鎌を構える。
恐怖に顔を歪ませ、涙と鼻水でぐちゃぐちゃ。
失禁すらしたとしても、この状況で少年を責めることはできないだろう。
ごく普通の少年に、悪魔と戦う力なんてある訳ないのである。
腰を抜かしたまま後ずさる少年にめがけてその大鎌を投げた。
「ひっ!!」
回転して飛んでくる大鎌に少年は身をすくめ目を瞑る。
もうそれしかできない。
絶対絶命・・・
そんな状況がしっくりくる状況。
だが、少年が現世から旅立つのはまだずっと先の話なのだ。

ガキンッ!と弾けるような金属音。
だが、痛くもなんともない。
少年は自分に何もなかった事に信じられない思いで、恐る恐る目を開ける。
そこで見たのは黒い壁・・・
それが人間らしいと理解するまでに暫くの時間が必要だった。

それは法衣をまとった2人のシスターであった。
1人は金髪碧眼、もう1人は黒い肌。
そして2人共、長身で美しい。
黒い肌のシスターの方が構えを解く。
彼女が両手で握っていたのは巨大な両刃斧。
それは少年よりも大きく、長身の黒い肌のシスターの背丈程もあった。
それでどうやら悪魔の大鎌をはじき返したらしい。
「異形なる者よ・・・」
金髪碧眼のシスターがよく澄んだ声で悪魔に言う。
「チッ!、俺の楽しみを邪魔しやがって!」
先程の余裕はどこへやら、悪魔の声は完全に苛ついていた。
「ここは貴方の居る場所でないわ」
金髪碧眼のシスターの手にも両手剣。
幅広で巨大な剣は黒い肌のシスターも両刃斧同様、女性が持つような代物でない。
「滅しなさい、この世から」
黒い肌のシスターは少しハスキーな声でニヤリと笑って言う。
「うるせえ!、カマ弾いたぐらいでいい気になるな!!」
明らかにイラつく悪魔の手に、再び大鎌が握られていた。
「ニンゲン如きがナマ言ってんじゃねーよっ!!」
空中から一気に滑空し、鎌を振るう悪魔。
シスター達も同時に飛び上がり、法衣だけが宙を舞う。
そして、交錯・・・

ズシャ!っと言う切り裂かれる音と共に悪魔は地に叩きつけられる。
悪魔の背中から切り裂かれた羽根が別々に落ちる。
そう、シスターの剣と斧が悪魔の羽根を切り裂いたのだ。
シスター達は法衣の下はレザー状の衣装を身にまとっていた。
彼女達の肢体がはっきりとわかるデザイン。
共に肉感的で巨大な胸と尻が強調される。
シスターと言うには余りにエロスな肉体だった。

少年は余りの展開についていけず呆然とする。
そんな少年の側にいつの間にか2人のシスターが寄り添う。
「貴方は・・・力を持つ者です」
大丈夫ですかでも安心してくださいでも無い。
シスターから出た言葉に、少年はえっと聞き返す。
「念じてください、ただひたすらに・・・我に力を与えよと・・・」
シスターの手が少年の手を握る。
意味は分からない。
いや・・・最初から、悪魔にいきなり襲われた所からもう何も分からない。
でも、少年はシスターの言葉にひたすら念じる。
『我に力を与えよ』と・・・
その間にヨロヨロと起き上がる。
彼を無視して少年に寄り添う2人のシスター。
今なら逃げれるかもしれないし、虚をついて一撃ぐらい食らわせれるかもしれない。
悪魔が選んだのは後者だった。
「ふざけやがって!」
血反吐と共にそう言い、大鎌を構えて一歩ずつ近づく。
シスター達は全く悪魔を見る様子も無い。
だが、その選択は誤りであった。

右手に金髪碧眼のシスター、左手に黒い肌のシスターに手を添えられていた少年。
目を瞑り必死に念じる。
『我に力を与えよ』と・・・
少年の手が青白く光り、その手の中に黒い物体が現れる。
それは拳銃・・・
ロングバレルのりビルバー式拳銃だった。
驚く少年に2人のシスターは微笑む。
「それが貴方の『力』・・・この世から魔を祓う力・・・」
「さあ、それで魔に正義の鉄槌を・・・」
シスター達は微笑み少年に促す。
悪魔はすぐそこまで来ていた。

「「さぁ、魔を祓いましょう(バニッシュ)!!」」

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