牝奴隷たちと御主人ちゃん 55
「死ね、死ね、死ね!!」
「もうやめてっ!」
ケイトがエミリーに全力で抱きつく。
ナイフが刺さったまま妖虫が床に転がり落ちる。ケイトがナイフを抜いて、傷口から白濁した血を流す妖虫を泣きながら抱きしめて、肩を震わせている。
(……私が悪いみたいじゃない!)
エミリーはナイフを拾い上げて、食堂から自分の船室に戻った。
ナイフで刺されたケイトの妖虫は母親の腕の中で、そのまま動かなくなった。
「……じゃあね」
エミリーは背負い袋に食糧と水がわりの果実酒をつめ込み、船から出て行くことにした。
妖虫の母親たちは、エミリーを船に残ってくれとは言わなかった。
邪神ガーバリムの体内をエミリーが歩き続けていると、海兵隊の巡察挺を見つけた。
昼夜の区別なく薄暗い肉洞窟を、足元もぐにゃりとした沼地のような地面を歩き続けていたので、エミリーは疲れていた。
食糧や水は残り少ない。しかし、妖虫の母親たちの船に戻る気にはならない。
そこで見つけた船だったので、エミリーは満面の笑みで船内に侵入した。
「たっぷり楽しませてもらうぜ」
巡察挺の船室で欲情を剥き出しの声で、軍服の上着を破き、女隊長の肩と乳房を剥き出しにした男は、三十代の肉の艶に興奮しながら押し倒して、乳房にむしゃぶりついていく。
吸われ、しゃぶられる乳房から、異様な刺激が広がっていく。男の舌先からは妖虫のように小さな針が出て、女隊長の乳首を刺している。
押さえ込まれている体つきは小娘にはない色気がある。軍服の下の太股も、桃尻も、むっちりと脂肪がのっている。
顔立ちも悪くない。目尻が少し下がっていて優しげなのも男は気に入った。
誰でも抱いてみたいと思う熟女の典型が女隊長のシャロンだった。
嫌悪より刺激が強かった。
職場の船内で見ず知らずの侵入者に軍人の士官であるにもかかわらず、乳を吸われている。部下の兵士たちには見せられない恥辱の姿である。
異常な状況で抱かれることで、女体がうずいてしまう。
海に出て半年。好みの男性を見かければ、腰が熱くなる気がした。鍛えられた男の胸板で乳房がつぶされ、息がつまるほど抱きしめられたかった。
海に出る前の港街で、同棲していた五つ年下の愛人は、シャロンの熟れた女体に溺れきっていた。
一晩に二回や三回求めてくるのがあたりまえだった。寝室だけではなく、昼間に裏路地で挑まれたこともある。
シャロンも挑発を欠かさなかった。下着はつけていないと囁き、愛人の勃起を人が来るかもしれない裏路地で口の中で、はじけるように射精するまでしゃぶった。
壁に手をついて腰を揺らしながら、ほしいとねだると、愛人は激しく突きまくった。
そんな激しい性交をシャロンは半年、我慢して絶っている。
任務中は、規律をシャロンが隊長として率先垂範してみせることで、部下たちを指揮するための威厳を保たなければならない。
船が遭難して、探査に出た部下たちが戻らない。失踪している可能性が高い。
しかし、隊長として船をむやみに離れるわけにもいかず、シャロンは苛立っていた。
それが、今、見ず知らずの侵入者、それも体格がいい逞しい男ではなく、痩せていて腕力や握力も女隊員よりなさそうな男に喉を舐められていた。
唾液が肌にこびりついていく。
男の手は腰と内股を弄んでいた。
唇がふさがれ、男の舌先がねじこまれて、シャロンはくぐもった声を洩らした。
唾液が流し込まれ、痺れた舌に男の舌が絡みついてきた。唾液を飲み込んだ。
舌を針で刺されたのである。
胸の高鳴りが、そして男の唾液の臭いが、シャロンの腰を熱っぽくうねらせる。
男はシャロンの顔中を舐め回した。まぶたの上も小鼻も舐めた。
シャロンはお返しに男の耳たぶを噛んだ。