牝奴隷たちと御主人ちゃん 5
「噛みついたら、どうなると思う?」
「えっ?」
「御主人ちゃん」が乳首を思いっきり噛みついてみると弾力があって強く噛みつけない。そして、乳首はツルッとすべって逃げた。
「こっちはどうかな?」
「ちょっと、ひゃあんっ!」
「御主人ちゃん」は股間のわれ目を撫でると、すかさず指先をわれ目に挿入する。
指先にはぬるっとした感触が絡みつく。
「中でなんか動いてるっ……ん、あぁっ!」
「指は動かしてないよ」
(ここに挿入したらすごく気持ちいいはず)
指先を抜き出してみる。指先は濡れてない。
これならフィルとベットでセックスしても、溢れた愛蜜でベットが汚れる心配がない。
(さっそく試してみよう!)
その時、水晶球が赤い光を放ち、点滅した。
フィルが気がついて、上半身を起こす。
「侵入者……」
「まったく、今じゃなくてもいいじゃないか!」
壁に侵入者たちを映し出す。
昨夜、呪われた甲冑を装着されたゾンビが、侵入者の戦士と戦闘中。
残りの三人がダンジョンを進んでいる。
「僕のじゃまをするなんて、許さないぞ」
昨夜、二人で呪われた甲冑を装着させたゾンビ騎士が、大男の重装備の戦士と大剣と大斧をぶつけあい、互角の勝負をしているのを見て、フィルが言った。
「行こうかな……」
「ファルの防御力は問題ないけど、今回のお客さんはファルには危険だよ」
戦士はともかく残りの二人の侵入者は、若い傭兵と修道服を着た女僧侶だった。
契約融合で半分魔物のファルには、聖職者は相性が悪い敵といえる。
女僧侶に二人の傭兵が護衛として雇われて、ダンジョンに来たという感じだ。
「御主人ちゃん、あのシスターがかわいいからって、殺さないつもりでしょう」
「そんなことはないけど、聖職者がダンジョンに踏み込んでくるのはめずらしいな」
ダンジョンに訪れるのは傭兵や盗賊が多い。あとは、その仲間の商人。噂の財宝狙い。
魔術師にとってはダンジョンそのものが魔法技術を駆使して作られた大傑作であり、学ぶべきものは多い。しかし聖職者には、ダンジョンには興味を持つものはないはずだ。
「まず一人は始末できたな」
大斧が戦士の左脚を凪ぎ払う。
戦士も鎧の隙間を狙い大剣を突き刺したが、そのまま抜けずに隙ができたのだ。
左脚の膝から下を切断された戦士が転倒すると、ゾンビ騎士は逃げた三人を追うように剣を腹部に刺したまま戦士を放置して歩き出す。
戦士が気絶せずに壁に背中をあずけて、荷物からロープを取り出して、傷口の少し上をきつく縛る。とりあえず止血するつもりらしい。
聖職者の回復魔法で傷を癒すことはできる。聖職者が戻るまで生き残ればいい。
その頭上から降りかかってきたのは粘液状になった赤色スライム。血液や体液を好むスライム。
大男の戦士がスライムに包み込まれた。
「残り二人とファルが戦うと負けるよ」
「え、なんで?」
「見てれば、すぐにわかるよ」
戦士の腕前を信頼しているのだろう。二人はダンジョンの奥に踏み込んでいく。
二人の前に四本腕のスケルトン、骸骨の剣士が現れた。
「めずらしい武器を使ってるな」
「御主人ちゃん、あれは?」
「クロスボウだよ」
若い傭兵は、スケルトンの真横を走り抜けながら、狙撃。壁に釘で打ちつけられたように、銀の弓矢で壁にスケルトンの頭蓋骨を固定した。
スケルトンが弓矢を壁から引き抜こうとした瞬間に、シスターはかけ寄って、聖水をスケルトンにふりかけた。スケルトンは口を開いて、煙を吐き出しながら、あっけなく活動停止。
四本腕に持つ剣の意味がまったくない。
「クロスボウの射撃を近距離で避けるのは、フィルでも難しいと思う。金属製の弓矢をナイフで払い落とすことはできるかもね。でも、足止めされる」
「うん」
「そこでシスターが聖水ならともかく、神聖魔法や飛び道具の呪符で攻撃してくる。そうなると得意の俊敏さが発揮できない」
「そうだね、御主人ちゃん。どうしよう?」
スケルトンを撃破した二人は使った純銀製の弓矢を回収せずに、ダンジョンを進んで行く。
それを見て、フィルに言った。
「クロスボウの弓矢が尽きれば傭兵は剣かナイフか、とにかく敵と接近戦をするしかない。
あとは、シスターが傭兵に俊敏さを上げたり、筋力を上げる強化の魔法をかける。
または、敵に金縛りや動きを鈍くする弱体化の魔法をかけるだろう。
あの二人、スケルトンの集団が現れたら、どう対処するかな?」
二人のいる階に各階のスケルトンを集合させる。
さらに、ゾンビ騎士が二人に近づいている。
ゾンビ騎士はスケルトンのように聖水をかけられたぐらいでは機能停止しない。
呪われた甲冑そのものが遺体をゾンビにして活動している魔物だからだ。