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牝奴隷たちと御主人ちゃん
官能リレー小説 - その他

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牝奴隷たちと御主人ちゃん 39

人が潜水できる限界を越えて、ゴーレム帆船が海底の沈没船をめざす。
光がない闇一色の世界である。

「たしか、お魚さんのおうちになっているなら、魚がいる深さなはずだが、深いな……」

少年が目を細めて指輪を撫でた。
船を操縦しているオルガが認識している海中を、少年も視ているようだ。
見慣れた魚の群れが泳ぐ深さではない。
奇妙な形の魚が多い。

「あれは……」
「さて、どれが、ポチの聞いたおさかなさんのおうちなのかな?」

ゴーレム帆船の帆布に描かれた紋章が青白い光を放ち、周囲を照らし出す。
そこで浮かび上がってきた光景を、船長室の壁や天井が透明になりオルガと少年以外の者たちも見た。

「沈没船だらけじゃねぇか……」
「すごい数ね」

見渡すかぎり沈没船の残骸が広がっている。
マストが折れている船や船体に穴が空いた船。
その中をゴーレム帆船が進んでいく。

「戦でもしたとしても、多すぎねぇか」
「この先に何があるのかな?」

海に沈んだ島がそこにはあった。
そして、島から蜂の巣をつついたようにわらわらと現れて、ゴーレム帆船を取り囲んだのは……。

「海の中にも人がいたんですね」
「あれは人じゃねぇよ、お嬢ちゃん」

ギルが指をさしているのは、集まってきた女性たちの下半身である。

「人魚。本当にいると思わなかったぜ」

海賊の島の伝承で語られている上半身は人の女性と同じだが、下半身は魚という魔物。
魔物がいる海域の噂。
美しい歌声を聞いていると、突然、巨大な蛸か烏賊が船を沈めてしまうというものだった。
本当に魔物がいるとは予想外だった。

「お魚さんなのかな?」

ポチがオルガの手にふれて、話しかけてみた。
帆布の光に警戒して囲んでいる人魚たちが、あきらかに動揺しているのがわかる。

「あのね、早く逃げてだって!」

ポチが言うのと同時に人魚たちが船から離れて島の方へ逃げていく。

「ふふっ、海の中にはおもしろいものがいろいろいるみたいだな」

少年がうれしそうな声を出して頭上を指さした。悲鳴を上げたのは皇女ティアナだった。

「邪神ガーバリム!」

「あれに勝てる気はしないわね」
「同感だ」

サラとギルが、海上から迫るものを見て言った。

「ティアナが歌ったら逃げるかもしれないけど……」

全員がティアナを見つめた。
ティアナが青ざめて震えている。

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