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牝奴隷たちと御主人ちゃん
官能リレー小説 - その他

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牝奴隷たちと御主人ちゃん 26

十五歳の誕生日。
村の雑貨屋に王城からの使者が訪れた。
両親は息子に十五歳になったらお前は王都へ、学問を習いに行くのだと話していた。
馬車に乗り込んだ息子の姿を見つめている両親の目に涙があふれていた。
一年間、離れて暮らすだけだと思っていた。
雑貨屋のアルと呼ばれていた少年は、この日から皇子エルヴィスとなった。

「半年後、城から抜け出し、暮らしていた村に兄は行ってみたそうです」

雑貨屋は閉店していて、空き家になっていた。
両親はいなくなっていた。村人に俺の親父とおふくろはどこに行ったかたずねても、全員知らないと答えただけだった。

隠し子ではなかったが、いきなり本当の親が現れて、それまで一緒に暮らしていた両親がニセモノだと告げられたわけだ。

「君も預言でどこかにあずけられたの?」
「いえ、私はずっと王宮で暮らしてきました」

皇子は十五歳まで王宮から離して育てられ、皇女は王宮から十五歳まで出ることを禁じられて育てられた。

「御主人ちゃん」は旅の話から、エルヴィスの苦労話までを、興味がないのに、とても興味があるふりをして聞いていた。

相手が話をしているうちに、自分に興味を持つのを知りつくしている。皇女は世間知らずで、あれこれ聞かれても、腹を立てずに無防備に答える。

皇女は自分に興味を持ってくれていると思い、また自分の恥ずかしい秘密を知っても受け入れて優しくしてくれた年下の男の子という認識で心を許している。

女たらしだな、あいかわらず。
死霊祭祀書が皇女ティアナの話を黙って聞きながら、あきれている。

神聖ベルラント王国までずっと飛行を続けさせずに、ポチを休憩させるために夕方到着したのは、辺境にある砦である。
砦の上に金色のドラゴンが夕日を背景に乗っている光景は、なかなか美しい。

「目立ちすぎるわよ、まったく」

二人を出迎えてくれたのは、すらりと背の高い大人の女性だった。
鍛えられた無駄な贅肉のない体つきをしている。彼女のあだ名は、ケッセルの女獅子と呼ばれている。
辺境ケッセル地方の女領主である。

「神聖ベルラント王国の皇女ティアナ様。私はこのケッセル地方の領主、サラ・ハウルドと申します」

女領主サラは女剣士で、暇を見つけてはこの砦に来て剣技の訓練をしている。
砦の屋上で大剣を振っているサラに、剣で勝てる者は、このケッセル地方にはいない。

「いないと思って勝手にポチを休憩させてもらった。じゃまなら、僕たちはもう行くけど」

「御主人ちゃん」がそう言うとサラが笑う。

「ゆっくりしていきなよ。たいしたもてなしは、街の館じゃないからできないけどね」
「ありがとうございます!」

皇女ティアナが会釈をして礼を言う。
「御主人ちゃん」は何も言わない。

「皇女様は気を使わずに。ポチに乗って空を飛ぶのはいかがでしたか?」
「はい、とても素敵でした」
「ですよね、私も乗せてもらったことがあります。気持ちいいですよね!」

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