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牝奴隷たちと御主人ちゃん
官能リレー小説 - その他

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牝奴隷たちと御主人ちゃん 11

フィルは「御主人ちゃん」が微笑を浮かべて自分を見たので、ドキッとした。
美貌の「御主人ちゃん」がこんな表情を浮かべていると無垢な汚れなき美少年ではなく堕天使や悪の化身ではないかと思うことがある。

「シスターの狙いは死霊祭祀書、あなただから、僕らはあなたをダンジョンに放置して旅立てばいいと。なるほど、名案だね。フィルはラミアと融合したから蛇神信仰の民からすればあがめられる存在だ」
「あのシスターの狙いが、料理の先生なの?」
「そうさ、ダンジョンに残していった純銀製の弓矢、そして聖歌で侵入者が何者かわかったんだ」

死霊祭祀書が悲痛な叫びを上げた。

(待ちたまえ、私は君に協力してきたつもりだ。置き去りになどしないでくれ!)

「フィル、意見を聞かせてくれないか?」
「あのシスターは誰なんですか。もう少し詳しく事情を説明してくれない?」

それは死霊祭祀書が、まだ人であった過去の時代の頃の話までさかのぼる。
ネクロマンサーの教祖となった男、破戒僧グラウバルトは禁忌を犯した。
その罪で投獄されて、牢獄で自分の生き血で書物を書き記した。それが死霊祭祀書である。
グラウバルトは書物を書き終えたあとは魂が地獄に奪われたように、自分自身のこともわからなくなり牢獄内で、断食をして死んだと伝えられている。

「グラウバルト、あなたは肉体を放棄して書物に命をあずけて牢獄からの脱獄を試みた」
(なつかしい話だ)

破戒僧グラウバルトが獄中で断食して餓死したあと、その遺品である書物を手にしたのは、一人の女性だった。神殿の神官長であるエレノア皇女。
グラウバルトの犯した禁忌とは、エレノア皇女と関係を持ったこと。史書では神殿から王家の財宝である錫杖を強奪したことになっている。

「エレノア皇女はあなたに利用された。脱獄する手段として、書物になりすましてあなたがエレノア皇女の手に渡るように、捕縛される直前に計画していた。
おそらく、エレノア皇女には貴女のことを愛しているから、私が死んだら書物を受け取ってほしいとでも言いくるめたのでしょう」

死霊祭祀書から再び人として転生しようとグラウバルトは計画していたが、それは失敗に終わる。
エレノア皇女が宿していた胎児は、グラウバルトの子ではなかったからである。
グラウバルトはまだ意識のない我が子の肉体を奪って、新しい人生を謳歌するはずだった。

(そうだ。エレノア皇女が宿していたのは、我が子ではなかったのだ。我が子であれば、エレノアの子として産まれて七歳になった時に、記憶が呼び起こされてグラウバルトとなるはずであった)

エレノア皇女のその後の生涯。
神託により神官長の地位を姪っ子の少女シーラに譲位して引退。騎士ヤザンと結婚。八十九歳の長寿を全うしてこの世から去った。

「あなたは、エレノア皇女が誰の子を孕んでいたのか知っているはずだ」

(おお、知っているとも。
胎児に我が命を融合しようとした瞬間に、その胎児の命が宿った時のエレノアの記憶が流れ込んできたのだからな!)

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