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快感メーター
官能リレー小説 - その他

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快感メーター 16

 国民的子役、国民的ヒロインなど、『国民的』の修飾語の大安売りにも程があるだろと思わなくもないが、アンチの存在はごくわずか。
 まさに、皆に愛される彼女の名前(芸名)は、国崎瑞穂(くにさき・みずほ)。
 この話を持ってきたマネージャーさんは、汗を拭き拭き、『ある意味挫折を知らずに今までやってきた彼女は、今の自分の状況に非常にナーバスになっていて、失礼な態度をとってしまうかもしれない…』などなど、恐縮しながら説明する。
 いやいや、自分はただの学生ですから失礼も何もないですよ。
「ははは、ご冗談を」
 鼻で笑われたよ。
 俺の評価、どうなってるの一体?
 ちなみにこのマネージャー、この前はデビュー前の女の子を連れてきて『是非ともデビュー前にあなたの力添えを…』などと言われてぶっ倒れそうになりましたわ。
 思わず首を絞めてしまった俺は悪くない。
 かわいそうに、その女の子は俺のことをものすごい権力者の後継者か何かと勘違いしたらしく、ガチガチに緊張しちゃってろくに口もきけない状態に陥ってたからね。
 いや、抱いたけどさ。
 初物じゃなかったところに、芸能界の闇を感じたけど。
 最初は優しく、色々と(快感メーターで)教え込んで、女として開花させてやりました。
 緊張もほぐれて可愛くなってしまったので、いつもの通りやりすぎちゃったけどね。
 幸せそうな顔で失神したまま目が覚めず、マネージャーさんに抱えられて帰っていきました。
 後日、『頑張ったら、またあの人に会わせてやる』などと人参ぶら下げたら大ハッスルしてブレーキかけるのが大変です……などと楽しそうに話すマネージャーの首を絞めるのは当然だと思う。
 まあ、それはさておき。
 国崎瑞穂に関する情報はパーソナルなものから仕事関係、友好関係にまで及び、今後の予定やら何やらを説明するマネージャーの姿に、この件にかける彼の意気込みを感じるとともに、根回しや段取りなどの手腕そのものに感心させられた。
 そして、最後に。
「それと、ですね……彼女は、処女というわけではないのですが…その、不感症気味というか、不感症そのものではないかとワタクシ共は推測しておりまして」
 うん、俺のところにこの話が来た理由がわかりました。
 欲求不満だか、情緒不安定だか、不感症だか知らないけど、全力を持って対処してみせますとも。(主に快感メーターが)
 女の悦びを知り、清純派脱却とか、演技開眼とかいわれる流れが目的ですよね?
「はは、まさにその通りでして…」
 うん、やることはいつもと同じ。
 やりすぎるぐらいにやりすぎてみせますと宣言した俺に、マネージャーの顔が引きつった。
 解せぬ。

 さて、国崎瑞穂と会うまでの日を、俺はいつもどおりに過ごしたと言いたいところだが。
 ちょうど麗の誕生日が存在しており、『麗、誕生日おめでとう』とちょっとした贈り物とともに声をかけたところ、彼女は膝から崩れ落ち、マジで泣かれた。
 これに激怒したのが理佐で、裕子までもが『ちょっと時と場合を考えよう』などと俺を諭し、洋子はいつものように黒さを感じさせる頬笑みを浮かべて『誰もが通る道ではありますけど…』などと呟いた。
 ガチで凹んだ麗を慰めるため、芸能関係の予定は全部キャンセルして麗を含めた4人と1週間ほどイチャイチャ…じゃなくて無茶苦茶セックスした。
 そして。
「ば、万全の体調で、やりすぎるほどやりとげてみせるということですか…」
 などと、何やらキャンセル理由を豪快に勘違いしたマネージャーが青い顔をしていたのはお約束。
 まあ、なんだかんだで、その日はやってきた。

 ホテルの部屋でも用意してくれるのかなと思ったけど、マネージャーが用意してくれたのは療養所というか別荘というか、芸能事務所で新人合宿やら打ち合わせなんかで使われる建物だとか。
 やりすぎるほどやりすぎてみせると宣言した俺の心意気を汲み取ってくれたのか、日程は二泊三日。
 同行するみどりさんはさておき、ちゃっかりと、アシスタントとしてついてきたというかマネージャーに話を通している裕子がマジ怖い。
「食事の用意とかは任せてねぇ」
 とかなんとか言いながら、瑞穂のストレス解消作業に自分も絡む気マンマンなのは明らかだ。
 現地には先に俺たちが着き、軽く掃除などをしつつマネージャーが瑞穂を連れてくるのを待つだけの状態だ。
 そして、マネージャーの運転する車に乗って、彼女はやってきた。
 ああ、うん。
 明らかに彼女は不機嫌そうだった。
 そりゃそうだ、何が悲しくて国民的ヒロインと評された彼女が、普通の学生である俺を相手にしなきゃならんのか。
 ……裕子さん、みどりさん、二人とも何を笑っているの?
 普通の定義がおかしい?
 ごめん、よくわかりません。 

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