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続・全てが叶うスマフォ
官能リレー小説 - その他

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続・全てが叶うスマフォ 10


梓は制服を着なおし、教室の外に出た。
その顔は無表情だったが、明らかに硬く、動揺した様子があった。

「(お手洗い、は嘘だな。自分のスマホで設定をチェックして、何らかの変更を試みるはずだ)」
俺は少し間を置いて教室を出て、梓の後を追った。


 梓は、自らの教室の前で立ち止まった。
 やはり、スマホを取りだそうとしている。

 しかし、そう…梓の教室は今は上半身裸の男子であふれているのだ。
 入るのに躊躇するに違いない。

 俺は改めてニヤリと笑った。

“ちょっと、手を差し伸べてやるか”

 「梓さん」
 梓は、びくっとしたようだった。
 「な、何、佐々木君…」

 梓とは、本来面識が無いはずだが、俺の名前を知っていた。
 かなり最初の方に設定した『校内の女子生徒と女教師は皆俺のことが好き』が作用しているのだろう。

 「何か教室に取りに来たの?」


「う、うん…」
普段コミュニケーションをとるのはおそらく双子の姉だけなのだろう、小声でやっと言葉を発する。
「教室の中、裸の野郎ばかりで入りづらいだろ?俺が取ってきてあげるよ」
「そ、そう…」
「で、何かな?」
「け、携帯…鞄の中に入ってる…」
「そうか」

教室の中に入り、梓の机の横にある彼女の鞄を探る。
鞄のポケットに、それはあった。
「(…俺のと全く同じだな)」
梓のスマホ。
外にいる梓は、俺が何をしているかは見えていない。
その間に、少し弄らせてもらうか…

 幸い、パスワードとか、暗号化とか、は行われておらず、俺は梓の例のアプリを容易に起動できた。

 このアプリは、命令はどこかのサーバーに保管されているようで、俺のもそうだが、バックアップに切り替える前の命令も読むことができた。

 『制服上半身裸』以降の流れは、ほぼ俺の予想通りだった。

 しかし…他の命令は…?!

 『姉に食べられたプリンが今冷蔵庫にある』とか
 『一時間分のカラオケ代金で、声が枯れるまで歌える』…これって、一人でカラオケに行っていたのか??
 『見忘れたあの番組は、完全な形で例の我が国の動画サイトで見られる』…これは願わなくてもいいような気はするが…

 俺は“時間跳躍能力を身につけたヒロインが…”というアニメ映画を思い出して、苦笑いした。

 おっと、あまりぐずぐずしている時間はない。
 俺はいくつかの命令を、梓のスマホに入力した。
 『このスマホの命令履歴を、佐々木一郎のスマホに転送する』
 『今後本スマホから発せられる命令もすべて佐々木一郎のスマホに転送する』

 ここまでは通ったのだが、



 『今後、佐々木一郎のスマホの命令は、本スマホの命令に優越する』

 これは…
 『命令矛盾』というエラーが返ってきた。

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