続・全てが叶うスマフォ 14
―茜の家に着いた。
インターホンを押すと、少しして茜の母親が出てきた。
「どうも、茜さんのクラスメートの佐々木です」
「クラス委員長の一宮です」
「同じく、クラスメートの来栖です」
「わざわざ来てくれてありがとうね」
彼女に勧められたので、俺達は家の中に入った。
リビングのソファーに座る。
「茜ちゃんは…」
委員長が話を切り出す。
「何も話してくれないの。ずっと部屋に引きこもってて…食事は部屋のドアの前におくと食べてくれるんだけど…」
茜のお母さんは事実を知らないようだ。
…だからといって真実を話そう、なんて思わないが。
俺は意を決した。
「茜さんに会うことは出来ますかね…」
「いいけど、あの子が今、どういう状況なのか…」
「うちのクラスの女の子に、一郎が嫌いな子なんていませんから!」
由希が心強いことを言ってくれる。
お母さんに案内され、茜の部屋の前に。
「茜、俺だ」
「…一郎、くん…?」
か細い声で、茜がそう言うのが聞こえた。
「ああ、俺だ」
「ごめんね…」
声に力が無い。
ますます心配になる。
「中、入っていいか?」
「…一郎くんだけ?」
「俺と、委員長と由希の3人だ」
「渚ちゃんと由希ちゃんも…」
しばらく茜からの反応が返ってこなくなる。
…何か考えているのだろうか?
「…いいよ」
「そうか。ありがとう」
ドアを開け、茜の部屋に入る。
茜はベッドの上に座っていた。
これより前に、俺は、スマホで茜を元気にできないかどうか、試みていた。
しかし、無駄に終わっていた。
茜に危害を加えた人(梓?)が、意図したのかどうか分からないが、茜に対してスマホの力を限定するような命令を下したと思われる。
不可抗力に悩む俺…そんな時
「実は「校内バレーボール祭り」があるんだけど…」由希が切り出した。
「そうだ!」思い立った様に設定して様子を見る。
「俺達は「校内バレーボール祭り」の話で盛り上がる。」
「茜に限定されている=具体的」なので「俺達」と設定すれば影響を受けると考えたのだ。