すると
『紺野茜を襲ったのは村井隆平』
村井隆平…今朝警察に連行された教師か。
俺はよく知らないが厳しいという評判は聞いたことがある。

なおも読み進めると
『レイプ犯は特定され、厳しい処分を受ける』
…俺が設定したのと似た文言が。
あのとき出た『命令重複』エラーはこれが原因か…

　ここを読む限りでは、俺に茜レイプの罪を着せようとしたのは、梓ではなさそうに見える。

　俺は、梓を疑ったり、攻撃しようとしたりしたことを、申し訳なく思った。

　しかし『村井隆平が紺野茜を襲った』なら（理解には苦しむが）まだ筋は通るのだが、
『紺野茜を襲ったのは村井隆平』って…まるで、真犯人が他にいるのに村井先生に濡れ衣を着せようとしたようにも読めるが…



頭を悩ませながらスマホを見ていると、委員長に話しかけられる。
「一郎くん、さっき梓のこと話したよね」
「ああ」
「普段なかったから、少し嬉しかったな」
「そうなのか？」
「うん、梓は元から友達がつくれなかったから…」
「そうか…」

委員長は話を続ける。
「実は、梓は『性同一性障害』だ、って言われててね…」
その言葉に思わず反応してしまう。

性同一性障害…つまり、女として生まれたのに自分が男のように思ってしまう…
確かに、姉である委員長はロングヘアの清楚な美少女だが、妹の梓はショートカットで何処と無く少年のような雰囲気があった。

「（もしや、梓は自分を男体化させて茜を襲ったとかじゃあるまいな…！）」

（いや！俺を自分か姉に振り向かせたかった？あるいはこのスマホで俺と同じことをして俺より先に目立とうとしていたかもしれない…）