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性先進国
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性先進国 16

「いろんな体位やろう。まず、正常位」

 メイファは、勢いよく仰向けになって、脚をM字に開いた。
「カメラ回ってる?」
「回ってるよ」

「来て、アレク」
「あ、あぁ…」
 アレクセンは、気がすすまない様子で、体をメイファの方に向けた。

「入れるよ」
 言うと同時に、アレクセンはモノをメイファの中に沈めていった。
「ああっ、アレク…」
「おおぉ、メイ」

 気が進まなかったアレクセンだが、入れたことで、スイッチが入ったようにピストンを始めた。

部屋に響くのはギシギシとベッドの軋む音と次第に大きくなる二人の喘ぎ声、パンッパンッ…という肉と肉のぶつかる音…
そしてテレビの中では初老の男が喋っていた。
セクロス民族党の指導者ダーメ・ヤランネンである。
『支持者諸君、ありがとう、ありがとう。今日は記念すべき日だ。私は諸君に誓う。このトゥルクィの地を拠点に、必ずや古き良きセクロスを取り戻してみせる。これは我々の最初の勝利だ…』


それからは変化の連続だった。
郡内全域において人目に付く場所での性行為、および未成年者の性行為が一切禁止され、違反者には懲役刑などの重い罰則が与えられた。
シタルネン主義の下、性解放教育を実践していた学校は次々と統廃合され、しかも男女別学とされた。
もちろん寮も男女別である。

一方で外国人排斥も進み、各業界から外国人資本家が追い出され、外国人労働者が不当に解雇された。
これは郡庁が圧力を掛けて主導した事だが、民間レベル、地域社会レベルでも外国人排斥運動が盛んに行われた。

ニーナは家族共々首都へと引っ越して行った。
父親が勤め先を突然解雇されたのだ。
彼の勤務態度は優秀で特に目立った失態も無かったが、身に覚えの無い難癖を付けられて解雇された。

メイファの両親は中華料理店を経営していたが閉店に追い込まれた。
繁盛していたが、ヤランネンが郡知事になって以降、店に酷い落書きをされたり、投石されるといった事件が相次ぐようになった。
警察に相談したがまともに取り合ってはくれなかった。
やがてガラの悪い男達が毎日のように店に来ては無理難題を言って暴れ騒ぐようになり、全く根拠の無い悪い噂も流された。
結局、メイファの一家は店を畳んで故国に帰る事に決めた。

外国人の有害性を説き排斥を煽ったのはヤランネン率いる郡庁だが、このような嫌がらせを実践したのはそれを真に受けた思慮の浅い連中、あるいはリズの言う所の“自分の人生が上手く行かない事を社会や外国人のせいにして鬱憤を晴らしたいだけのお子ちゃま”であった。

今やトゥルクィ郡はセクロス国内で最も保守的かつ閉鎖的な地域となった。
何せ郡庁も郡議会もセクロス民族党が占めているので、法案は可及的すみやかに可決そして施行される。
まさに独裁状態であった。

“性の解放”に逆行する“性の制限”とでも言うべき政策が実施されるようになってからというもの、郡内では犯罪が激増し、治安は著しく悪化した。
特に性犯罪が横行した。
人々の性のはけ口をあまりにも急に奪ってしまった事による反動であろう。

人々は様々な要因でトゥルクィ郡を離れていったが、人口が激減するといった事は無かった。
ヤランネン主義に賛同する者達も当然おり、その人々がセクロス各地から流入して来たからである。

 アレクセンは、寮の部屋は変わらなかった。
 ルームメイトは、当然男子になった。しかも、その男子は、もとはヤランネン派の私立校にいて、選挙後に転校してきて『監督生』になった先輩だった。

 ときどき、親から心配してメールが来る。
(セクロスの子供が単数形で「親」と言ったら、母親のことである。そもそも父親が分からないケースが多く、父親を意識することは基本的にないため)
 リズは、今は州の中心都市イテスデンで、日系の旅行会社の支店に勤めている、と彼は聞いた。

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