性先進国 15
昼までに、義勇軍側からの、大統領提案に対する答えが示されたことをニュースでやっていた。
・選挙実施を6カ月後以降にすること
・選挙は、州知事、州議会議員の他、市長、市議会議員、郡知事、郡議会議員も同時に実施すること
・州の他、市や郡にも広範な自治権を認めること
・以上が認められるなら、義勇軍は当分の間停戦する。
一郎は、その意味は、ある程度理解したが、この解説は、リズに聞きたかった。
彼は勤務中にリズに連絡を取っておき、会社が終わってから速やかに会いに行った。
おととい、飲みが中断してしまったバーで、一郎はリズと落ち合った。
「ヤランネンは、多分トゥルクィ郡やその周りだけでも実権を取ろうとしている。シタルネン側は、郡一つくらいは渡してもいいと思ったのだろうか…」
第二章 ヤランネンの反動
彼は、起きて、ちょっと勉強して、食事して、セックスして、また寝て…という日々が当たり前に続くと思っていた。
そう。これまでは。
彼は、アレクセンという。12歳。
母親のリズが首都に仕事に行って、ここトゥルクィ郡のある学校の寮に住んでいる。
今、同室のメイファをバックから突いているところだった。
「メイ!メイ!」
「あっ、あっ、アレク!いいよぉ…」
「あ、あ、いきそう…いくぅ」
アレクセンの液がメイファの中に染み渡っていった
「…東部地方、州・市・郡一斉選挙の結果、トゥルクィ郡知事には、民族党推薦のダーメ・ヤランネン氏が当選確実に…」
つけっぱなしのテレビがそのようにしゃべっていた。
「ねえ、アレク…もうすぐ、こんなふうにセックスできなくなっちゃうのかな…」
長い黒髪に細い眼のメイファが、ベッドの上でアレクセンに並んで座り、彼にもたれかかれながらそうつぶやいた。
彼女は中華系だ。世界中でイメージの良くない中華系だが、彼女は親とシンガポールから来ていて、そんなマイナスイメージは全くなかった。
「そうかなぁ…」
確かに、半年前の大統領の“東部への自治権”宣言の後、彼らの周りの空気は確実に変わっていた。
目つきの違う人たちがどんどん周りに増えてはいた。
でも、学校は、何も変わらなかった。
「私の故郷ね、独裁って言われてたの」
「そうなの?」
アレクセンの頭には、シンガポールは、明るい発展した都市のイメージしかなかった。
「私も、あんまり覚えていないけど、親から聞いたことでは、首相が作った政策が、かなり速やかに実行された、っていう…」
メイファは、改めてアレクセンに肌を擦り寄せた。
テレビでは、郡議会でも、民族党系…つまり義勇軍と同じ方針を目指す人たち…が圧倒的多数を占めたことを映していた。
「ヤランネンの、考えが、すぐに実行されるのかもしれない」
「よく…分からないんだけど…」
メイファは構わず続けた。
「もしかして、会えなくなっても、私のこと忘れないで…ねぇ、写真取っておかない?」
「写真?」
メイファは、立ち上がり、自らのバッグから小型のビデオカメラを取りだして、自分の方に向けた。
「動画取るの?」
「いや?」
「そういうわけじゃないけど…」
メイファは、カメラをアレクセンに渡した。
「まず、私を撮ってよ」
彼は、状況を飲み込めないまま、カメラを回し始めた。メイファは服を全く着ないまま、股を開いたり、いろいろなポーズをとった。
「ただいま」
ドアが開いた。もう一人のルームメイト、ニーアだ。
浅黒い肌に縮れた髪、どこの国から来たか本人はあまり語っていないが、少なくとも先祖はアフリカのサハラ以南にいたに違いない。
「どうしたの?ビデオなんか撮って?」
「思い出の写真になるかもしれないよ」
メイファは、まだつけっぱなしのテレビの方を視線で示した。
「…そうねぇ…」
「そうだ!ねえ、ニーア、私たちのセックスを撮ってくれない?あとで、よかったら撮るからさ」
「僕たちのセックスを?!」
アレクセンは、目を丸くして、一旦録画を中断した。
ニーアはくすりと笑った。
「アレク、できるの?やったばっかりじゃないの?」
彼女は彼の小さくなったモノに視線を向けた。
「あ、ああ、さっきやったばかりだ…」
「じゃあ、これでできるんじゃない?」
ニーアは、パジャマの下を、下着もまとめて脱ぎ去った。
それは、メイファのものと同じように見慣れたものだが、やはり、条件反射的に、モノは反応するのだ。