PiPi's World 投稿小説

性先進国
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 9
 11
の最後へ

性先進国 11

「一郎!!大丈夫!?」
リズが一郎に駆け寄る。
マスカークは言った。
「フンッ…サポーター連もたまには役に立つ。日本の民族的侵略の手先の一人を捕まえるとはな」
「民族的侵略…?どういう意味だ?」
「貴様らは日本からジャップの男を大勢連れて来て、金に物を言わせてセクロス人の女を抱かせている!結果、黄色い猿共の穢らわしい遺伝子に、美しき我がセクロス民族の遺伝子が侵蝕されていく…これを民族的侵略と言わずして何と言う!?」
「……」
一郎は何も言い返せなかった。
このマスカークという男が異常な民族主義者である事を差し引いても、彼の主張は…一郎達のしている事は…その通りだったからだ。
もし立場が逆だったら…一郎は考えてみる。
…確かに、良い気持ちはしないかも知れない…。
そう思った時だった。
「くだらないわ!」
リズがマスカークに向かって叫んだ。
「何が“美しきセクロス民族”よ!?そんな古い観念に縛られて変化を拒否して来たからセクロスはずっと貧しかったんじゃない!あなた達は結局自分の人生が上手くいかない事を社会や外国人のせいにして鬱憤を晴らしたいだけのお子ちゃまよ!」
「女、貴様……殺す!!」
マスカークはリズに飛びかかって首を締め上げた。
「ぐぐぐ…っ!!!?」
「リズ!!おい!止めろ!お前が憎いのは僕だろう!?彼女は関係無い!放せ!」
「貴様は黙ってろ!この女の後でじっくりとなぶり殺してやる!…女ぁ!貴様もセクロス人の誇りを捨ててこの胴長猿に体を許した裏切り者だな!?恥を知れ!」
一郎はマスカークに飛びかかるがビクともしない。
リズは首を絞められ顔を真っ赤にして苦しんでいる。
もうダメだ!!…と思った、その時だった。
「マスカークさん!大変です!…って、何をしてるんですか!?大事な人質に…!」
昨日の女テロリストが血相を変えて飛び込んで来た。
「うるさい!こいつらは見せしめに殺すんだ!」
「そんな事してる場合じゃありません!アジトが武装警官隊に取り囲まれてます!」
「な…なに!?なぜバレたんだ!?」
驚いたマスカークは思わずリズから手を離した。
「…ゴホッ!ゴホッ!」
「大丈夫かい!?リズ!」
「…ええ、大丈夫よ…一郎」
マスカークは女テロリストに怒鳴り散らしている。
「さては後を付けられたバカがいるな!!最後にアジトに来たマヌケは誰だ!?そいつを連れて来い!!俺がこの手で首をへし折ってやる!!」
「今日このアジトに出入りしたのは…マスカークさん一人だけです」
「……」
「……」
「この大バカヤロウが!!なにをボサっとしてる!?武装警官なんぞ蹴散らせ!!応戦の準備だ!!」
「そ…そんな!私達の火力では無理です…!」
「黙れ!!サポーター連の分際でゴチャゴチャぬかすな!命令に従わなければ義勇軍の軍規に則って銃殺刑だぞ!」
「わ…解りました!」
そしてマスカークと女テロリストは出て行った。

後に残された一郎とリズは話し合う。
「な…なんか大変な事になって来ちゃったね…」
「でも私達これで助かるかも知れないわ…」

拡声器の声が聞こえて来た。
『君達は完全に包囲されている!大人しく人質を解放し、武器を捨てて出て来なさい!ただし、あくまで抵抗するというのであれば我々も容赦はしない!』
立てこもり犯に向けてのお決まりの文句かと思いきや、後半はかなり不穏な内容だ。
『繰り返す!君達は完全に包囲されている!大人しく人質を解放し…』

パアァァンッ!!!!

一発の銃声が轟き、武装警官隊の中の一人がバッタリと倒れた。
撃ったのはマスカークだった。
彼は唾を飛ばして叫んだ。
「黙れえぇい!!魂を売って外国人の手先に成り下がった非国民共め!我々セクロス民族義勇軍は決して降伏などしない!捕らわれて無様に生き長らえるよりは、誇りある死を選ぶ!!」

…そして、銃撃戦が始まった。

たちまち窓ガラスは粉々に砕け散り、壁には無数の弾痕が刻まれた。
「一郎!!」
「リズ!!」
一郎はリズを守るように彼女の上に覆い被さる。

セクロスの武装警官隊の装備は軍隊と殆ど変わらない。
初めから無謀な戦いだった。
すぐに数と火力に劣るテロリスト側が劣勢になった。
「ぐあぁ!!?肩を撃たれたぁ!!」
「誰かぁ!!!負傷者の手当てに手を貸してくれぇ!!」
「お母さん!!お母さあぁぁん!!!」
目を覆いたくなるような味方の惨状に女テロリストがマスカークに提案した。
「マスカークさん!もうダメです!降伏しましょう!このままでは全滅です!」
「こ…降伏だとぉ!!?ふざけるな!!敗北主義者はこの場で射殺するぞ!!」
続いて彼が口にした言葉に、この場の誰もが耳を疑った。
「聞けぇ!!俺は地下の隠し通路を使って一旦ここを離れ、本部へ応援を呼びに行って来る!!お前達はそれまでここを死守しろ!!降伏や逃亡は決して許さん!!いいな!!?」
「そ…そんな…!?我々を置いて一人だけ逃げる気ですか!?」
「……」
だがマスカークはそれに対して何も言わず、隠し通路を通って去って行った。

警官隊が突入して来たのはその直後だった。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す