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美少女戦士 ピュアハート
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美少女戦士 ピュアハート 28


だが今の敵はピュアハート、もはや油断も何もあったものではない。 

ゴウッ!ビュウウッ!と空気を切るような音を響かせ、次々に水流を微調整し逃げ場がないように打ち出す水鬼は慎重だった。 

「先走るな水鬼っ!今は合体攻撃だっ!」

しかしそれを落ち着かせるように声をあげたのは上空で武器である奥義を構える風鬼だった。 

金鬼が各個撃破された以上、もはや確実にピュアハートを仕留めなければ仲間を失った意味がない、合体攻撃を促した木鬼は空中から狙い撃ちをするように真空波を作り出して上下からピュアハートを追い詰めていく。

しかし、ピュアハートも負けてはいなかった。 

ピュアハートは深呼吸の後に、力の限り地面を踏み込み、そしてそのまま一気に土ぼこりをたてる、もうもうとあがるそれはまるで目眩ましのように自らの姿を隠し、そしてその煙をより巻き上げるように次々に水鬼と風鬼の攻撃が打ち込まれていった。 


「クソっ!これではどこに逃げたか解らんぞっ!仕方ない、究極奥義っ!邪忍朱水陣!」

水鬼は焦っていた、生きているのかいないのか、これではピュアハートを仕留められたのかすら まず解らない。 
本来の計画ならば合体攻撃、それが無理なら究極奥義を使い仕留める…あらかじめたてていた策ではあるが、究極奥義はそれゆえに消耗も激しいためおいそれとは使えない…いわば命を削るのに等しい行為だ。

水鬼は考えていた、きっとそれほど遠くない距離にピュアハートは逃げただろうと、ならば点のような攻撃よりは線…より広範囲にダメージを与えられる方がいい、その考え方に水鬼の究極奥義はぴったりだった…そう言わんばかりに、いつのまにか地面は泥濘と化しはじめ、やがて浮かび上がる水溜まりすら真っ赤に見えるのが確認された。  

「慌てるな風鬼、これは言わばもぐら叩きよ…飛び出たら確実にお前の風でピュアハートを押さえ込め、俺はフルパワーで攻撃を叩き込む…もはや敵は追い詰められたネズミだ、逃げ場はない」

強気に発言する水鬼だがそれほど余裕があるわけではない、それにこの朱水は決して砂ぼこりをたてなくするだけの水ではない、もって10分以内が勝負のカギだが、はたしてピュアハートはどうでるのか…自身が唯一ピュアハートの力に対して相克する水気を持っている水鬼の、仲間を失い二人に逃げられたという展開に対するプレッシャーはすさまじいものがあったが、今はまだ負ける訳にはいかなかった。

そう、全てはハンゾウの悲願を叶えるため、ダークキングダム復活のため…打てる手は打たなくてはいけないのだ。 

「始まるぞ、風鬼、お前はピュアハートが飛び出してきたら押さえつけろ、目的はハート一人だ、ピュアソウルは放っておけっ」


「承知!お前こそぬかるなよ!水鬼っ!」

そう声をかける風鬼を尻目に水鬼は印を組み、逆手の構えで呪文を唱え続けていた。 

邪忍朱水陣…水鬼の奥義であるそれは、地面から迸る朱水を使った一種の結界魔術に近いものだ、通常ならばまるまる都市ひとつを飲み込める巨大な範囲で使用が可能だが、今回は体力的な理由とピュアハートを仕留め持ち帰るだけのために使われているため範囲は広くもないし、攻撃についてもさほど協力なものではないが…だからこそこの陣には恐ろしい秘密があった。 

「オーーーーーンムッ!」

朱水陣の上に立つ水鬼が叫ぶと同時に、地面を満たしていた朱水に変化が現れはじめた。 

地面を満たす水が次第に朱から澄み始める程に、辺りの建物が次々に水に飲み込まれ、そして消えていく…水が地面を飲み込む…という考えられないような光景が目の前に広がっていたからだ。


「古くより仙術で使われた紅水を再現したのがこの朱水よ、地面だろうが瓦礫だろうが朱水は全てを溶かして飲み込む、そして辺りには穴しか残らん…潔く死ぬことはないぞ?ピュアハート…さあ、朱水から出てこい!そうでなければ貴様が死ぬだけよ!」

水鬼は考えていた、さすがに死んでもらっては困るが、これならば否が応でもピュアハートは現れるだろうと 。 

そしておそらく土気を利用し地面を逃げ回っているであろうピュアソウル、いくら土気は水気に相克するとはいえ、これほどの攻撃をすれば逃げ切れるわけもないだろう、と。 

全てが憶測で確証はないが、こちらは二重の構えをしている、だからこそ負けるはずがない、そう考えた水鬼は一反陣の魔力を弱め、ピュアハートの気に対してサーチをかけることにした…水はどこまでも浸透するものだ、だからこそ追跡に苦はないし、それこそが強みでもある。

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