美少女戦士 ピュアハート 23
肝付の件はガス漏れによる不発弾の大爆発と、薬物を使った集団強姦事件とされ、大々的に報じられたためか病院をマスコミがぐるっと囲むような事態になってしまったが、真純には極めて関係のないことだった、むしろ真純の心は壊れかけていた。
あれほど大切にしていた純潔は奪われ、こちらを弄ぶつもりだった肝付も死に…勢いに任せ悪夢の中で虐殺を繰り返し、さらには自身を陥れようとしていたとはいえサスケを殺害してしまった…消えない罪の重さと理不尽さに、持ち前の明るさは消え去り、そして真純はある一つの事を考えていた。
…皆みたいに男に抱かれれば、全てを忘れられるのかもしれないな…。
今となってはピュアリーフの姿も快楽に酔いしれるそれがうらやましく思えてくる…そんなことを考えているうちに、コンコン!と病院の個室にノックの音が響き渡った。
「こんにちは、今は大丈夫かしら?」
「や…弥生さん」
「今は会いたくない…って顔ね?いいかしら」
「そ…そんなことありませんっ…」
真純は久しい「先輩」の顔を見て安堵の表情を浮かべるも、思い出した闘いの恐怖に身を震わせていた。
叫び声と身体を引き裂かれるような痛み、いくら和らげようとしても調書を取られてしまうセカンドレイプの恐怖。
「あ…あうぅ…う、う゛ぅっ…」
「大丈夫よ…無理しないで、あんな目にあった翌日だもの…なんなら今日は帰るから…」
「だ、大丈夫ですっ!そ…それで…今日はっ…」
「もちろん貴女を観に来たのよ…心配でしかたなくて…会ってないんでしょう?七海ちゃんにも」
「は…はい…」
しばらく学園には通いたくない、それが真純の本心だった。 両親ももちろん断れるはずもなく、学園を思い出すようなモノは皆遠ざけ…しかし、何故か弥生だけにはそんな感情を抱かなかった。
この人やリーフさんは一体どうやってこの苦しみを乗り越えたんだろう。
今の真純はそれが知りたかった、手に入れたスーパーパワーで怪物は倒せたが、それでも恐怖は消えない…またいつあの投げやりなバレーボール量産が始まるのか、まるでストーリーを切り取ったかのような陵辱が始まるのか、と。
「…リーフ…樹はね、レインのお姉さんなんだけどさ…私と同じくダウナーの子供を産まされてああなったの、私達二人でレイニーキングダムの殲滅も出来るんだ…そう考えてた矢先に敵に捕まってね…私やレインの方がおかしいんだと思うの、普通嬉しくないわよね?化物を産まされてパワーアップだなんて…サスケもそれを聞いて余計に嫌だったみたいね、所詮自分達ユートピアムの住人は化物扱いなのかって…」
ぽつりぽつりと過去の話を語る弥生の言葉に耳を傾けながら、真純は頷いていた。
「幹部クラスのダウナー…コタロウを倒したまではよかったんだけど、樹はついに耐えられなくなって戦いをやめたの、そして力をレインに譲って自分は引退して…私も受験を機にバトンタッチした…レインはね、私のこと、そんなに好きじゃないと思うんだ…あの時樹を引き留めていれば今頃こんな事にはならなかった…たまにそう言いたげな顔してるしさ」
「そ、そうなんですか…レインさん、何だかよく難しげな顔してるから…」
真純からすればレインはよく知らない相手だが、弥生からすればそんな感情があるのか…と驚かされつつも、それでもまだ完全に立ち直れない真純は、自分の疑問を口にすることにした。
「そ…その、弥生さんは間違ってないと思いますっ…こんな大変な闘いですからっ…樹さんのこと、心配されてたんですよね?で、でも何で…まだ、あんなに辛くて苦しい出産なんか…何度もさせられても…戦えるんですか?」
真純の真剣な叫び…