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僕が原間瀬泰蔵
官能リレー小説 - その他

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僕が原間瀬泰蔵 22

「聞けば聞くほど立派な旦那さんだったんですね」
泰蔵は階段の上まで肩を貸し、今は花束と水桶を持っている。
さやかは折れたヒールのままお線香を片手に旦那の昔話をしながら石畳の上を二人並んで歩いていた。
「班長として部下達を守ると言って…。泰蔵さんは自衛隊には入らないのですか?」
「ははは、僕にはそんな勇気ありませんよ」
「あら、もったいない。そんなにいい体を持ってるのに」
泰蔵は事前に沙織を使ってさやかのことを調べさせていた。
「何で私が調べなきゃいけないの?」
と拗ねて見せたが、
「調べてくれないならもう、してあげないぞ」
と言うと頬を膨らませながら益兄にメールで掛け合った。
「巷で尖閣諸島紛争で戦死された美人の未亡人の噂を聞いたことあるんだけど、益兄、何か知ってる?」
ほどなくして返信が届き、益兄の知る限りの情報と、独身組の中では競争率が高いが、身持ちが固いので有名だった。
ご褒美に泰蔵は沙織をまた気を失うまで犯してやった。
そして今に至る。
下手にガードされて催眠術が失敗するのを恐れた泰蔵はいつものやり方を実験的に少しアレンジしていた。
今まではイメージするスイッチはON/OFFのタイプだったが、今回はダイヤル式の強弱をつけられるタイプだった。
今は弱にしてさやかの中に潜り込む段階だった。
「勇気なんて後から付いてくるって主人が言ってましたわ。要はやってみることが肝心だって」
(そんなところに行ったら僕は真っ先にいじめの対象だ)
「でも、僕はまだ学校卒業してませんから、まだ先の話ですね」
二人は勝也の墓の前に着くと泰蔵が墓石に水をかけて花を取り換えた。
さやかがお線香を捧げると二人で手を合わせた。
さやかは長く祈りをささげていた。
さやかが祈り終わると泰蔵は肩を貸して来た道を引き返す。
このとき泰蔵はスイッチのイメージを弱から中に上げて行った。さやかの眼がうつろになっていく
「お子さんはいらっしゃらないのですか?」
「ええ。二人はほしいねって話をしてました。でも…」
「再婚はされないのですか?」
「皆のために死なれた主人を思うととてもそんな気には…」
「それはどうでしょう」
さやかの眼は一瞬光を取り戻すと顔を上げて泰蔵を見たが、すぐにうつろに戻っていく。
「旦那さんはみんなの幸せのために犠牲になられたのでしょ?なのに幸せになれないというのは旦那さんの気持ちを裏切るのではないのでしょうか?」
「でも、」
「それにさやかさんも言ったじゃないですか。<やってみることが肝心だ>って」
「でも、どうしたら…」
ここで泰蔵はスイッチを一気に強にした。
「新しい命、お子さんを作りませんか?」

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