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侍物語〜サムライストーリー〜
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侍物語〜サムライストーリー〜 9

「じゃあ行くでござるよ?」
虎太郎は戸に手をかけ二人を見る。二人は無言で頷く。

刀を構えつつ侵入するも、庭に人の気配はない。万が一のため、逃走するときの逃げ道の確認と挟み撃ちにされないように気配を消しつつ道場の周りを探る。しかし、人はいないようだ。

刀を握り、道場の扉を開け放つ。
「誰だ!」
視線が三人に集中する。道場の中には自身の刀を確認し、戦闘準備をしている浪士が20人ほどいた。
「アニキ!あいつが例の侍ッスよ!」
浪士の一人が指を差しながらわめく。
虎太郎は、叫んだ浪士に、指される前に、兄貴と呼ばれたところに、寄っていた。
「不法侵入の非礼は素直に詫びるでござる。しかし、先に無礼な振る舞いをしたのはそちらの方」
子分らしき輩はまったく聞く耳を持たず抜刀する。
「ごちゃごちゃうるせえんだよ!」
しかし、虎太郎の拳が鳩尾を捕え、抜いた刀を構える事無くその場に崩れ落ちる。
「先日からのいざこざのかたをつけに参った」
危険を感じ取ったのか、アニキと呼ばれた男は自身の刀を構える。
虎太郎も刀を握りなおす。その目は獲物を捕える獅子のごとき光を宿す。
「皆の衆…覚悟してもらおうか」
アニキと呼ばれた男は、虎太郎の気迫に表情を引き締めた。
そして構えを取るが……体勢を低くし、剣を腰の位置に持ってくる独特の構えを取った。
「真庭念流、太田左兵衛だ……」
真庭念流……それは、江戸中期から後期にかけて最強を誇った念流の一派である。
元々は上州の郷士の護身剣術から始まったものだが、武骨ながら実践的な剣術は多くの剣士を輩出している。

静も虎太郎も男の構えから実力を計り、警戒を強める。
そして、虎太郎は剣を青眼に構える。
「お留め京八流、飛天神翔流……秋月虎太郎……参る!」
虎太郎の剣術……京八流とは、京の公家、僧、町衆達によって、古来から伝えられてきた様々な流派の事である。
その中でも『お留め』と言うのは、公家達が門外不出の秘伝として代々伝えてきた剣術であり、飛天神翔流もその一つである。
公家と武術……意外と接点はなさそうな気がするが、公家達は武士のように武術をひけらかしたりしないだけである。
その為、殆ど知られる事無く、公家やその公家を守護する青侍達によって守られてきたのだ。
しかし、数々の伝説が、京八流の強さを喧伝してきたので、ひとかどの剣士なら知る者もいた。

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