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侍物語〜サムライストーリー〜
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侍物語〜サムライストーリー〜 8

「おぬしたち・・・人には言っていい事と悪い事がある・・・さっさとメスを渡せだと・・・ふざけるな!おぬしたちは拙者を怒らした・・・命があって帰れると思うな!」
鬼気迫る虎太郎を見て男どもはたじろいた。
虎太郎の剣筋……男達には全く見えていなかった。いや、見えていないだけでなく、その凄さすら理解できていなかったのだが、理解できなかった事が彼らにとって不幸である事などしる由もなかった。
この中で静だけは見えたが、思っていた以上の疾さと力強さ……実践的に鍛え上げられた剛剣であった。
しかも、自分達の為に怒ってくれている……それが何よりも嬉しかったのである。

吹き飛ばされた巨漢が顔をしかめながら立ち上がる。
「おかしな事をしやがって!……ぶっ殺してやるっ!!」
唸り声のような巨漢の言葉で、男達は木刀を構える虎太郎と静を取り囲むように動く。
「どうりゃりゃりゃーぁ!!……」
2人をまだ舐めきっている男達の顔にはまだ余裕がある。
その中で気の逸った男2人が虎太郎と静に襲いかかってくる。
バキッ!……
ゴスッ!……
勝負は一瞬、虎太郎の鋭く疾い剛剣は男の脳天を捉え、反応すらできなかった男は血を噴きながら崩れ落ちる。そして、流れるような美しい振りから繰り出される静の突きは男の鳩尾を的確に捉え、悶絶した男は前のめりに崩れた。

「理緒姉ちゃん・・・いまのわかった?」
珠美が虎太郎から目を離さずに聞いてくる。
「よくわからなかった・・・瑞樹姉さんは?」
「わたしも無理だったわ・・・」
「お兄ちゃん、あんなに強かったんだ」

三人が眺めている間にも不逞浪士が山積みにされてゆく。
「き、貴様は化け物か!」
最後の一人は腹部に一撃を受け、地面に座り込み怯えきっていた。
「こいつらを連れて失せるでござるよ。次はこいつで・・・切り捨てる」
腰の得物をちらつかせ、冷たい光を宿らせた瞳で睨み付ける。
「覚えてろっ!!……」
素晴らしいまでに雑魚の捨て言葉を吐いた男達は、ほうほうの体で逃げていく。
母である静の強さは知っていた3人の娘であったが、その母と勝るとも劣らない虎太郎の腕に驚きを隠せずにいた。

静かに木刀を下げる静は虎太郎に微笑みかける。
「有難うございます、虎太郎様……」
「いや、静殿達の為ならよいでござるよ……」
虎太郎も笑い返すが、2人共このままで解決すると言う甘い考えは持っていなかった。

静は道場の神棚の前に置く刀を取る。
刀は常陸守典光、家に伝わる大業物である。
「瑞穂を連れて、こちらから乗り込みます……」
静は虎太郎にはっきりとそう言う。
虎太郎は勿論ついて行くと言うばかりに静に手を差し出したのだ。

町外れの大きな道場。看板らしきものはあるが、ボロボロで読むことはできない。ここは不逞浪士の溜り場になっているともっぱらの噂で、一般人は誰も寄り付かなかった。
理緒と珠美を静の信頼できる友人に預け、三人はそれぞれの得物を片手に門を見据えていた。

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